百科事典マイペディア 「レビタン」の意味・わかりやすい解説
レビタン
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ロシアの画家。リトアニアの鉄道員の家に生まれ、モスクワの絵画・彫刻・建築専門学校でサブラーソフとポレノフに師事した。1891年から移動派のメンバーになる。98年から母校の教授となって後進の指導にあたるほか、クリミア、ボルガ、フィンランド、イタリア、フランス、スイスなど各地を旅し、独特の風景画を描いた。その特色は、対象とする自然の雰囲気をきわめて繊細に叙情豊かに表現し、見る者に心の安らぎを与える美的世界を確立したことである。作家チェーホフと親交を結んだこともあって、レビタンの風景画にはチェーホフの叙情的散文を思わせるものがあると評された。代表作に『秋日』(1879)、『白樺(しらかば)の林』(1885~89)、『雨あがり』(1889)、『黄金の秋』(1895)(いずれもモスクワ、トレチャコフ美術館)など。ロシアの風景をロシア人の心にしみる世界に昇華した画家といえよう。
[木村 浩]
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