日本大百科全書(ニッポニカ) 「ローゼンクイスト」の意味・わかりやすい解説
ローゼンクイスト
ろーぜんくいすと
James Rosenquist
(1933―2017)
アメリカの画家。ノース・ダコタ州グランド・フォークスに生まれる。ミネソタ大学とニューヨークのアート・スチューデンツ・リーグに学ぶ。最初は抽象表現主義的な作品をつくっていたが、ネオ・ダダの画家たちとの交流から、身近な都市環境に目を向け始める。ミネソタで広告看板の仕事で生計をたてていた体験を生かし、タイムズ・スクエアの巨大な広告に発想を得た作品を制作する。画面のイメージを拡大し、映画の看板やポスターのような商業主義的手法による作品を発表して注目を集めた。1962年ニューヨークのシドニー・ジャニス画廊の「ニュー・レアリスツ」展に出品し、グリーン画廊で個展を開く。以来、ポップ・アートの代表的画家として活躍をみせるが、大画面を分割し、緩やかな輪郭をもつ広告的手法で描かれたイメージを組みかえ、配置する画風に特徴がある。ジェット機の胴体に植物や少女などの映像的イメージをコラージュした『F―Ⅲ』(1965)は、ベトナム戦争下に描かれた壁画的スケールをもつ大作として知られる。
[石崎浩一郎]
『キム・レヴィン著、山下真由美訳『モダン・アートの終焉――ニューヨーク・アート・レポート』(1991・東京書籍)』▽『リヴァ・キャッスルマン著、杉山真紀子訳『アメリカ現代版画・7人の巨匠たち』(1993・淡交社)』▽『現代グラフィックアートセンター編・刊『ジェームズ・ローゼンクイスト展』(1997)』