デジタル大辞泉
「ワークショップ」の意味・読み・例文・類語
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ワーク‐ショップ
- 〘 名詞 〙 ( [英語] workshop )
- ① 仕事場。作業場。〔音引正解近代新用語辞典(1928)〕
- ② 研究集会。参加者が専門家の助言を得ながら問題解決のために行なう協同研究。
- ③ 講習会。とくに、参加者が自主的に活動して行なう講習会。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
ワークショップ
workshop
もともと〈仕事場〉や〈作業場〉を意味する言葉だが,アメリカでは一般に,専門的な技術やアイデアを試験的に実施しながら検討を行う研究会やセミナーを指す言葉としても使われていた。ところがアメリカの演劇の世界では,1960年代ごろから新しい形態の演劇を創造する母体としてのワークショップに大いに関心が持たれるようになり,そういったアメリカでの試みが注目をあびて,演劇の世界では広く世界的にこの呼名が使われるようになった。それは,固定した理論や方法論を持つ学校方式の修業の場とは異なり,新しい理念と技術を参加者全員で模索しながら流動的に訓練を重ねていくことを特徴としている。当初は劇団など上演グループの中で組織され,技術の研修とグループ独自の上演活動の追求を目的とした小規模な内輪の仕事場であったが,しだいにアメリカの〈オープン・シアター〉やポーランドのJ.グロトフスキの演劇実験室などが評判を呼び,劇団組織の枠を越えるものも増え,ワークショップによる上演がクローズアップされるケースも多くなった。そこでは,演者,演出者,また作者がいっしょに研修を重ねながら共同作業としての舞台づくりが行われるが,こうした実験の成果としての舞台はさまざまの意味で前衛的なものであり,作品と演出と演技ほかが有機的に働く生きた総体としての迫力を持ち,感銘を与えることが少なくなかった。ここからさらに,フランスの太陽劇団の《1789年》ほかの作品のように,ワークショップを通して作品が共作される〈集団創作〉への道も開かれていったわけで,そのようなことも含めてワークショップの意義はきわめて大であったということができるだろう。
執筆者:斎藤 偕子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
知恵蔵
「ワークショップ」の解説
ワークショップ
仕事場や研究集会といった意味から、美術や演劇などで表現者や鑑賞者といった従来の枠組みを超えた参加者全員による共同作業を指すようになった。日本の美術館では1970年代後半から、アーティストや学芸員(キュレーター)と一緒に子供たちが創作を体験する試みとして広がった。90年代に、美術館の教育普及活動の一環として盛んになり、さらに2002年度に実施された小中学校の「総合学習」(総合的な学習の時間)により、「図画工作」の時間数が切りつめられた代わりとして、積極的に地域の美術館で採用されつつある。「絵画教室」といった創作体験だけでなく、子供たちに展覧会を企画させるなど様々な試みが広がっている。しかし現状では、欧米のように普及学芸員やエデュケーターと呼ばれる専門学芸員を置く美術館は多くない。今後、美術館の地域社会への積極的なサービスの一環として発展させるためにも、十分な環境整備が求められている。
ワークショップ
英語では、仕事場、作業場、の意味。講師の話を参加者が一方的に聞くのではなく、参加者自身が討論に加わったり、体を使って体験したりするなど、参加体験型、双方向性のグループ学習。受け身型学習からの転換・脱皮として、日本でも1980年代後半以降、演劇、ダンス、美術などの芸術分野で盛んに行われるようになった。例えば、劇団青年団を主宰する劇作家で演出家の平田オリザは90年代以降、日本各地で、彼自身の演技メソッドを体験型で教えるワークショップを数多く行ってきた。ワークショップは、芸術分野以外にも、学校教育、企業研修、住民参加の街づくりなど、多彩な領域で行われている。
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
百科事典マイペディア
「ワークショップ」の意味・わかりやすい解説
ワークショップ
本来〈仕事場〉〈作業場〉を意味する言葉で,一般にグループ各人の創意工夫や実験を通して検討しあいながら行うセミナー,研究会をいう。新しい創造の場として美術などでも注目され,とくに演劇では,はじめ既定のメソッドによらない演技や演出の訓練の場として,のちにワークショップそのものによる上演も行われるようになった。そこでは流動的な参加者の有機的なつながりが重視され,集団創作という新しい演劇の形がつくられている。米国の〈オープン・シアター〉やフランスの太陽劇団の試みなどがその例。
→関連項目シェパード
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
ワークショップ
ワークショップとは元来、「工房」「作業場」など協働で仕事を行う“場”を表す言葉。教育研修の手法としては、参加体験型グループ学習を意味します。講師から一方的にナレッジを受け取るだけの講義やセミナーとは違い、参加者自らが積極的な意見交換や協働体験を通じて、実践的な知識・技術を学びとるのが特徴です。研究や創作活動の手法として、あるいはまちづくりなどのコミュニティ活動における問題解決や合意形成の場として活用されることも多く、近年はあらゆる分野で広くワークショップが行われています。
(2009/4/27掲載)
出典 『日本の人事部』人事労務用語辞典について 情報
ワークショップ
workshop
美術,演劇,映画などさまざまな芸術の分野で,具体的な技術を学ぶ集りやセミナーをいう。通常は,その技術を習得した芸術家が若手の指導にあたるが,1回の場合もあれば,連続して行われることもある。特に演劇においては,1960年代以降集団創作が盛んになり,ワークショップから発展して,実際の上演にいたることも多くなった。その場合,ワークショップをリハーサルの一形態とみなすこともできる。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
世界大百科事典(旧版)内のワークショップの言及
【工房】より
…工房は,金属器のように制作に特別な技能を要する物品の発生と共に諸文明中に登場したと考えられる。
[西洋]
工房を,英語ではワークショップworkshop,ステューディオ(スタジオ)studio,フランス語ではアトリエatelier,ドイツ語ではウェルクシュタットWerkstatt,イタリア語ではボッテガbottegaと呼ぶ。都市の発達に伴って発展した中世の工房は,[ギルド](同業組合)の統制下にあり,同一職種内部の相互扶助,規制,技術水準の保持に努めた。…
【工房】より
…工房は,金属器のように制作に特別な技能を要する物品の発生と共に諸文明中に登場したと考えられる。
[西洋]
工房を,英語ではワークショップworkshop,ステューディオ(スタジオ)studio,フランス語ではアトリエatelier,ドイツ語ではウェルクシュタットWerkstatt,イタリア語ではボッテガbottegaと呼ぶ。都市の発達に伴って発展した中世の工房は,[ギルド](同業組合)の統制下にあり,同一職種内部の相互扶助,規制,技術水準の保持に努めた。…
※「ワークショップ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」