ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ワーズワス」の意味・わかりやすい解説
ワーズワス
Wordsworth, William
[没]1850.4.23. ウェストモーランド,グラスミア
イギリスの詩人。革命さなかのフランスを訪れて強い影響を受け,さらにフランス女性との間に1女をもうけたが,イギリスの対仏宣戦布告によって恋愛は挫折し,フランスに恐怖政治が行われるに及んで,革命への疑惑と不信をいだくにいたった。この頃,詩人 S.T.コールリッジと知合い,イギリスにおけるロマン主義の開幕を告げる詩集『抒情歌謡集』 Lyrical Ballads (1798) を共同で発表。 1801年の第2版にはロマン派の宣言ともいうべき序文を加えた。大作『序曲』 Preludeは 05年に一応の完成をみたが,推敲を加えて死後の 50年に刊行された。 07年刊の『詩集』 Poems in Two Volumesも多くの傑作を含んでいる。『逍遙遊』 The Excursion (1814) 以後,創作力の涸渇を指摘されたが,イギリス文学史を飾る第一級の詩人であることに変りはない。 43年桂冠詩人となった。
ワーズワス
Wordsworth, Dorothy
[没]1855.1.25. カンバーランド,ライダル
イギリスの日記作者。 W.ワーズワスの妹。一生独身で通し,1795年以降常に兄のかたわらにあってその詩業を助けた。 98年起筆の『日記』 Journalは死後出版され,兄の作詩に関する貴重な消息を伝えるとともに,自然に対する彼女自身の繊細な感受性を示しており,文学として,また社会史の資料としても独自の価値をもっている。
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