一偏(読み)イッペン

デジタル大辞泉 「一偏」の意味・読み・例文・類語

いっ‐ぺん【一偏】

[名・形動ナリ]
一方にかたよること。また、そのさま。
「―の我執によりて朝恩をもかへり見ず」〈折たく柴の記・下〉
気持ちがある物事一つに向かうこと。いちずなさま。
「―に思ひ切って鎌倉中にたてこもる」〈太平記・一九〉
(接尾語的に用いて)ひたすらそのことに心を向けるさまを表す。「正直一偏
読書―の学者になって居たい」〈福沢福翁自伝

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「一偏」の意味・読み・例文・類語

いっ‐ぺん【一偏】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 )
  2. 一方にかたよること。また、一方にだけかたよっていること。
    1. [初出の実例]「古集の中に様々の姿、詞、一偏ならず」(出典:無名抄(1211頃))
    2. [その他の文献]〔宋史‐劉述伝〕
  3. 気持が、ある物事一つに向かうこと。いちずなさま。
    1. [初出の実例]「一片(ヘン)往生極楽を願より外に、他のいとなみなし」(出典:発心集(1216頃か)七)
  4. ( 名詞の下に付けて接尾語的に用いる ) もっぱらそのことに力を入れる。また、そういうさまであることを表わす。
    1. [初出の実例]「若き時は、武士は武勇一片、町人は職一片なれども」(出典:古文真宝前集抄(1642)一)
  5. 一部。一部分一片
    1. [初出の実例]「爰に一裏店を写して、略(ほぼ)其の一偏を示す」(出典:江戸繁昌記(1832‐36)三)
    2. [その他の文献]〔荀子‐天論〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「一偏」の読み・字形・画数・意味

【一偏】いつぺん

片方

字通「一」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android