デジタル大辞泉 「一」の意味・読み・例文・類語

いち【一】[漢字項目]

[音]イチ(呉) イツ(漢) [訓]ひと ひとつ
学習漢字]1年
〈イチ〉
数の名。ひとつ。「一一一枚逐一万一
物事の最初。一番目。「一位第一
ひとたび。「一応一巡
最上のもの。「随一天下一日本一
ひとまとまり。「一概一軍一座一同一様
他をまじえず、それ一つだけ。もっぱら。「一意一途いちず一念
ある一つの。もう一つの。「一案一時一部一名
ほんのわずか。ちょっと。「一瞥いちべつ一抹一縷いちる
〈イツ〉
ひとつ。「択一唯一
一番目。「一階一等
一つにまとまる。ひとまとまり。「一致一般画一帰一均一単一統一不一
もっぱら。「純一専一
ある一つの。他の。「一説一方
わずか。「一顧一瞬
〈ひと〉「一息一際一癖一口一筋一昔
[補説]「弌」は異体字。
[名のり]おさむ・か・かず・かた・かつ・くに・すすむ・ただ・ち・のぶ・はじむ・はじめ・ひ・ひじ・ひで・ひとし・まこと・まさし・もと
[難読]一昨日おととい一昨年おととし三一サンピン一寸ちょっと都都一どどいつ一向ひたすら一入ひとしお一十ひとそじ

いち【一/壱】

[名]
数の名。自然数で最初の数。ひとつ。
いちばん初め。1番目。「―の鳥居」
物事の最初。「―から出直す」
最もすぐれていること。最上。最高。「―の子分」「世界―」
三味線などで、いちばん音の低い太い糸。一の糸。
島田髷まげなどの後ろに張り出た部分。
「菊千代は潰島田つぶしの―を気にしながら色気のない大欠おおあくび」〈荷風腕くらべ
[副]いちばん。最も。いっち
ねりと申して、―うまい柿でござる」〈虎寛狂・合柿
[補説]「壱」は、主に証書などに金額を記すときまちがいを防ぐために、「一」の代わりに特に用いる。
[類語]じゅうゼロ一つ二つ三つ四つ五つ六つ七つ八つ九つとお

ひと【一】

ひとつ。いち。
(名詞や動詞の連用形の上に付いて)
㋐一つ、または1回の意を表す。「包み」「勝負」
不特定一時期や大体の範囲などを表す。「ころ」「わたり」「通り」
㋒ちょっとしたものであることを表す。「かど」「くせ」
㋓全体に及ぶさまを表す。全部。…じゅう。「皿たいらげる」「夏を山荘で過ごす」
㋔(「ひと…する」の形で)軽くある動作を行う、あることをひととおりする意を表す。「眠りする」「風呂浴びる」

いつ【一/壱】

ひとつ。
「ここに―の秘法を案出致しそろ」〈漱石吾輩は猫である
同じこと。まとまっていること。「軌を―にする」「心を―にする」
一方。あるもの。別なもの。「―は甘く、―は苦い」
(「いつに」の形で副詞的に用いて)もっぱら。ひとえに。「成否は―に現在の努力にかかっている」

いつ【一/壱】[漢字項目]

〈一〉⇒いち
〈壱〉⇒いち

ひい【一】

ひ(一)」の音変化。「、ふう、みい」

ひ【一】

いち。ひとつ。声に出して数をかぞえるときの語。ひい。「、ふ、み、よ」

イー【一】

《〈中国語〉》数のいち。ひとつ。

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精選版 日本国語大辞典 「一」の意味・読み・例文・類語

いち【一・壱】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 数の名。最初の基本数。また、いくつかに分けたものの一つ。ひとつ。ひと。いつ。
      1. [初出の実例]「一(いち)二の目のみにはあらず五六三四さへありけり双六(すぐろく)の采(さえ)」(出典:万葉集(8C後)一六・三八二七)
      2. 「惣(すべ)て都のうち、三分が一に及べりとぞ」(出典:方丈記(1212))
      3. [その他の文献]〔易経‐繋辞・上〕
    2. 物事の始め。最初。第一番目。
      1. [初出の実例]「父母ふみを一にてよむ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)藤原の君)
      2. 「一の御子は右大臣の女御の御腹にて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
      3. [その他の文献]〔老子‐四二〕
    3. 最もすぐれていること。最も大事なこと。また、そのもの。第一。最上。一等。
      1. [初出の実例]「一を得て運を撫で」(出典:日本霊異記(810‐824)中)
      2. 「すべて人に一に思はれずは、なににかはせん」(出典:枕草子(10C終)一〇一)
    4. ( 名詞の上について ) 多くの中の不確定な一つをさす。ある。
      1. [初出の実例]「東京の一家庭に起った異常な事件である」(出典:日の出前(1946)〈太宰治〉)
    5. 極端なこと。はなはだしいこと。
      1. [初出の実例]「御供のうちに、某(それがし)一の老体にて候」(出典:大観本謡曲・七騎落(1483頃))
    6. 三味線の糸の中の最も太いもの。いちのいと。
      1. [初出の実例]「年わすれかわれぬ時分一が切れ」(出典:雑俳・柳多留‐四(1769))
    7. (まげ)などの、元結(もとゆい)でくくったところから、後方に出た部分。
      1. [初出の実例]「一(イチ)が上り過たじゃあないかね」(出典:滑稽本浮世風呂(1809‐13)二)
    8. 酒の一合。
      1. [初出の実例]「紅葉(もみぢ)おろしで一(イチ)よ」(出典:滑稽本・八笑人(1820‐49)五)
    9. いちにち(一日)」の略。特に八月一日(八朔(はっさく))。
      1. [初出の実例]「一(いチ)はのがれたが十五是天命」(出典:雑俳・川傍柳(1780‐83)三)
    10. さいころの一の目のこと。
      1. [初出の実例]「一の裏は六、悪の裏は善也」(出典:仮名草子・竹斎(1621‐23)上)
    11. (しょう)の管名。盤渉(ばんしき)の音律を出すもの。
      1. [初出の実例]「譜十字 十〈双調〉下〈下無〉乙〈平調〉工〈上無〉美〈鳬鐘〉一〈盤渉〉行〈黄鐘〉凡〈壱越〉乞〈下黄鐘〉比〈神仙〉」(出典:楽家録(1690)一〇)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙 一番。第一に。最も。→いいちいっち
    1. [初出の実例]「孔子七十余国を遍歴するに居陳三年そ一久しいそ」(出典:足利本論語抄(16C)公冶長第五)
    2. 「いちほねおりて見えけるはいかなる人ぞ」(出典:虎明本狂言・祇園(室町末‐近世初))

ひと【一】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 物の数を、声に出して順に唱えながら数えるときの一(いち)。ひい。ひ。
    1. [初出の実例]「一(ヒト)(ふた)(み)(よ)」(出典:年中行事秘抄(12C末)鎮魂祭歌)
  2. [ 2 ] 〘 造語要素 〙 ( 名詞・助数詞または動詞の連用形の上に付けて用いる )
    1. 物事の数がひとつであること、または一回分であることを表わす。「ひと足」「ひと冬」「ひと勝負」「ひと浜」など。
      1. [初出の実例]「山処(やまと)の比登(ヒト)本薄(すすき)、うなかぶし汝が泣かさまく」(出典:古事記(712)上・歌謡)
      2. 「ひとふさ折りてまゐれ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)
    2. ひとつのもの全体に満ちている、または、全体に及ぶ意を表わす。…にいっぱい。…全体。…じゅう。「ひと鍋」「ひとかかえ」「ひと晩」など。
      1. [初出の実例]「日ひとひ下(しも)に居くらしてまゐりたれば」(出典:枕草子(10C終)八二)
    3. 不特定のある一点を漠然とさして表わす。ある。
      1. [初出の実例]「ひとひの文に、ありし事など語り給ふ」(出典:枕草子(10C終)一三六)
      2. 「一とせ山門の訴訟によってながされしを」(出典:平家物語(13C前)二)
    4. 一応その範疇にはいる意、またちょっとしたものである意を表わす。ひとかどの。いちおうの。
      1. [初出の実例]「一(ヒト)面目に備んと攻(せめ)戦ふ」(出典:太平記(14C後)一五)
    5. ( 「ひと…(…)する」の形で ) その動作を一応する、一通りする意を表わす。ちょっとの。また、ひとしきりの。「ひと苦労する」「ひと泡ふかす」「ひと旗あげる」「ひとかせぎする」など。なお、この後半を略して「ひと…」の形だけでいうことも多い。
      1. [初出の実例]「わが背子が古き垣内(かきつ)の桜花いまだ含(ふふ)めり比等(ヒト)目見に来ね」(出典:万葉集(8C後)一八・四〇七七)
      2. 「其矢〈略〉本堂の艮(うしとら)の柱に一ゆりゆりて、くつまき過てぞ立たりける」(出典:太平記(14C後)一七)
    6. ( 「ひと…に…する」の形で ) その動作が一回だけで終わる、一回だけで完全に行なわれる意を表わす。一回だけの。一度だけの。また、いっきの。ひといきの。「ひと筆に書く」「ひと打ちに打ちのめす」など。なお、この後半を略して「ひと…」の形だけでいうことも多い。
      1. [初出の実例]「おにはやひとくちに食ひてけり」(出典:伊勢物語(10C前)六)

いつ【一・壱】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 数の名。最初の基本数。また、いくつかに分けたものの一つ。「も」を伴って、少しも、の意にも用いる。ひとつ。いち。
    1. [初出の実例]「抜山之力蓋世之気一も用に不立ぞ」(出典:史記抄(1477)六)
    2. 「中にも此関は三関の一(いつ)にして」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)白川の関)
  3. 同じこと。同様。同一。「軌を一にする」
    1. [初出の実例]「本注の写本は、いつも伐と代とをば一にするほどに」(出典:史記抄(1477)五)
  4. 一つに集中すること。合同。統一。「力を一にする」
    1. [初出の実例]「我が臣民克(よ)く忠に克く孝に、億兆心を一にして」(出典:教育に関する勅語‐明治二三年(1890)一〇月三〇日)
  5. 一方。あるもの。別のもの。
    1. [初出の実例]「民間には義士烈婦ありて、国辱をそそぎたりとて、大に外交政略に関する而已(のみ)ならず、一(イツ)は以て内政府を改良するの好手段たり、一挙両得の策なり」(出典:妾の半生涯(1904)〈福田英子〉二)
    2. 「一(イツ)を良心的と讚へ、他を非良心的と貶(けな)したが」(出典:文学史的空白時代(1928)〈大宅壮一〉三)
  6. ( 「に」を伴って副詞的に用いる ) もっぱら。ひとえに。「いつに日頃の研究心のたまものです」「成否はいつにかかってここにある」 〔礼記‐礼運〕

イー【一】

  1. 〘 名詞 〙 「一」の中国音。いち。ひとつ。江戸時代には拳(けん)の用語として用いられ、現代ではマージャン用語として用いられる。
    1. [初出の実例]「真(ほんとう)の拳(けん)と云ふ物は一(イイ)(りゃん)(さん)(すう)(うう)(りう)(ちい)(ぱま)(くゎい)といふものだっサ」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)三)

ひ【一】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ひと(一)」の頭の音を符丁のようにしたもの ) 物の数を、声に出して順に唱えながら数えるときの一。実際に唱えるときには普通は「ヒーフーミーヨー」のように長く発音する。ひい。→ひい(一)
    1. [初出の実例]「一二三四五六七八九十をひふとて、手に石ふたつをもちてかはりがはりたまにとるに、ひふみよいむなやこと、といへるは」(出典:名語記(1275)四)

いっち【一】

  1. 〘 副詞 〙 ( 「いち(一)」を強めていった語 ) ものの程度や状態が、最もはなはだしいさま。第一。最も。いちばん。
    1. [初出の実例]「極遅六十劫とて一(イッ)ちをそいぞ」(出典:百丈清規抄(1462)二)
    2. 「最も居下故とは三衣の中にて位がいっちの下也」(出典:六物図抄(1508))

いち【一・市・都・城】

  1. 〘 接尾語 〙 盲人の名につける語。→一名(いちな)
    1. [初出の実例]「なんと清いち、証文の文言(もんごん)はあれでよかろうが」(出典:黄表紙・高漫斉行脚日記(1776)中)

ひい【一】

  1. 〘 名詞 〙 「ひ(一)」の変化した語。物の数を、声に出して順に唱えながら数えるときの一。ひ。ひと。
    1. [初出の実例]「君か代は長の数よむひいふうみい〈西鶴〉 たはね木をつむ高き屋の内〈西吟〉」(出典:俳諧・西鶴五百韻(1679)何鞠)

いいち【一】

  1. 〘 副詞 〙 第一に。一番に。最上の。いっち。いち。
    1. [初出の実例]「いいちひとの見めのよきは」(出典:狂言記・法師物狂(1660))

いちにはち‐じけん【一・二八事件】

  1. 上海事変の中国における呼び方。昭和七年(一九三二)一月二八日に起こった。

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普及版 字通 「一」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 1画

(異体字)弌
4画

[字音] イツ・イチ
[字訓] ひとつ・はじめ・もっぱら

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 指事
横画一。記号的表示。算木をならべる計算法。卜文・金文では四までは横画を重ね、五は×、十はで示す。弌は貳(弐)より派生。貳は鼎銘を戈で削り、盟約に貳(たが)う意。その字形を一に適用した。〔説文〕一上に「惟(こ)れ初め太始、は一に立つ。天地をし、物をす」とし、古文一字を収める。一・二・三を発生論的に解する思考法は、〔老子〕によるものであろう。古文の字形は卜文・金文にみえず、ただ〔鼎(こつてい)〕に「貳(たが)ふ」の字があり、鼎に戈を加えて銘文を削り改める意であろう。のち略して弍に作り、一にも弌の形が作られた。〔古文尚書、文侯之命〕にその字がみえる。

[訓義]
1. 数の一、ひとつ、ひとり、ひとたび。
2. 一よりはじめるので、はじめ。
3. 最小の数であるから、すこし、わずか。
4. 一にまとめるので、すべて、みな、もっぱらの意となる。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕一 ヒトツ・ヒトリ・トモシ・チヒサシ・モハラ・キハム・オナシ・トモ/一心 ココロヲモハラニス/一二 ツバヒラカニ

[語系]
一・壹(壱)ietは同声。壹は壺中にあるものが醸して、その気がなかに充つる意。その充したものを一という。鬱・iut、iunなども同系の語である。

[熟語]
一握・一意・一・一雨・一詠・一臥・一概・一行・一隅・一芸・一言・一元・一座・一字・一時・一次・一縄・一場・一陣・一朶・一代・一諾・一段・一道・一二・一念・一臂・一別・一望・一眸・一味・一脈・一命・一面・一沐・一門・一躍・一遊・一陽・一様・一覧・一理・一律・一粒・一流・一領・一縷・一類・一例・一列・一聯・一臠・一路・一老・一弄・一楼・一・一・一个・一架・一箇・一介・一覚・一喝・一竿・一簡・一貫・一気・一奇・一紀・一揆・一簣・一期・一掬・一去・一挙・一曲・一局・一計・一顧・一刻・一再・一切・一策・一拶・一粲・一盞・一・一死・一枝・一是・一瀉・一終・一宿・一瞬・一将・一心・一新・一酔・一斉・一隻・一洗・一掃・一双・一束・一尊・一旦・一・一致・一籌・一朝・一対・一・一天・一転・一途・一統・一派・一杯・一髪・一般・一斑・一筆・一夫・一封・一幅・一碧・一偏・一遍・一抔
[下接語]
画一・帰一・貴一・均一・合一・混一・執一・什一・純一・随一・斉一・精一・専一・太一・第一・択一・単一・逐一・貞一・統一・同一・得一・寧一・不一・抱一・万一・唯一・理一

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

デジタル大辞泉プラス 「一」の解説

三村純也の句集。「はじめ」と読む。2018年刊行(角川文化振興財団)。2019年、第34回詩歌文学館賞(俳句部門)受賞。

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