一党独裁(読み)いっとうどくさい(英語表記)one party dictatorship

日本大百科全書(ニッポニカ) 「一党独裁」の意味・わかりやすい解説

一党独裁
いっとうどくさい
one party dictatorship

単一の政党がある国の政治権力を独占的に掌握している事態をさす。狭義には、政党制のレベルで単一政党のみが認められているような支配形態をいう(ナチス党のドイツ、共産党によるソ連)が、制度的な複数政党制のもとで、ある政党が事実上の一党独裁を行使している事態についても用いられる(社会主義時代の東欧諸国における共産主義政党支配など)。一党独裁は、フランス革命における山岳党支配(ジャコバン独裁)を古代ローマの独裁官個人による独裁と対比して用いられたのが始まりで、その種類には、ソ連の共産党独裁にみられた左翼党による革命独裁と、ドイツのナチス党、イタリアのファシスト党などの右翼的反革命独裁のタイプがある。一党独裁は軍事・官僚行政機構の高度な集中と政党への従属、文化的・イデオロギー的一元化の強制を伴いやすい。

[池田光義]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「一党独裁」の意味・わかりやすい解説

一党独裁
いっとうどくさい

権力が唯一の政党に集中され, 他党派の活動が禁止・弾圧されている状態。革命政党が一党独裁制を実施する場合と,反革命政党が一党独裁を実現する場合があったが,第2次世界大戦後は,植民地から解放された発展途上国において伝統社会を近代化していくために多様な形の一党独裁が実現されている。このため一党独裁を革命的,反革命的という2つの概念だけでは分類できなくなっている。 G.サルトリは一党制を強制的コントロール強度焦点を当てて以下の3つの下位カテゴリーに分類している。 (1) 全体主義一党制 イデオロギー指向が強く,強制力,抽出力,動員力が大きい。 (2) 権威主義一党制 イデオロギー指向は弱く抽出力も動員力も小さい。 (3) プラグマティズム一党制 イデオロギーの凝集性は低く,組織は散漫,多元的なものとなりやすい。

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