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一忠 いっちゅう

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

一忠 いっちゅう

?-? 南北朝時代の能役者。
京都白河の本座を中心に活躍。その演舞は,貞和(じょうわ)5=正平(しょうへい)4年(1349)の勧進田楽(かんじんでんがく)で多数の死傷者をだすほど観衆を熱狂させた。将軍足利尊氏も愛好し,将軍家の御用田楽師ともいわれる。観阿弥(かんあみ),道阿弥(犬王)らに影響をあたえた。

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書籍版「講談社 日本人名大辞典」をベースに、項目の追加・修正を加えたデジタルコンテンツです。この内容は2015年9月に更新作業を行った時点での情報です。時間の経過に伴い内容が異なっている場合がございます。

朝日日本歴史人物事典の解説

一忠

生年:生没年不詳
南北朝時代の田楽本座の能役者。田楽のスタープレーヤーで観阿弥,道阿弥ら猿楽の役者にも大きな影響を与えた。貞和5/正平4(1349)年に催され,桟敷崩れで有名となった勧進田楽は,本座と新座の競演であったが,本座の一忠は「恋の立合」で新座のスター花夜叉らと共演し,花夜叉に恥をかかせ優位に立っている(世阿弥申楽談儀』)。観阿弥は一忠を「わが風体の師なり」(同書)と述べ,道阿弥は一忠に直接師事していた。世阿弥自身も一忠を「当道の先祖」4人の筆頭にあげ,能芸の大祖に当たる人物と認識している。ただし世阿弥は一忠を見ていないと述べており,世阿弥が物心のつく応安3/建徳1(1370)年ごろ以前に亡くなっていたらしい。

(松岡心平)

出典|朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版
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世界大百科事典 第2版の解説

いっちゅう【一忠】

南北朝時代の田楽(でんがく)本座の能役者。生没年不詳。経歴の詳細は不明ながら,世阿弥の著書によると,大和猿楽の観阿弥や近江猿楽の犬王(いぬおう)が模範と仰いだほどの達人で,鬼など各種の物まね能をこなし,また優美な芸をも兼備したという。1349年(正平4∥貞和5)の京都四条河原での本座・新座合同の勧進田楽は,足利尊氏らの貴人も見物している最中に桟敷が崩れて死傷者が出たことで名高い(《太平記》等)が,その催しの最初に演じられた《恋の立合》の主役の舞い手が一忠だった(《申楽談儀》)。

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大辞林 第三版の解説

いっちゅう【一忠】

南北朝時代の田楽の名手。京都白河を本拠とした本座に所属。観阿弥が師と仰ぎ、その芸風に大きな影響を与えた。生没年未詳。

出典|三省堂
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世界大百科事典内の一忠の言及

【猿楽】より

…なかでも大和猿楽の四座,近江猿楽六座が名高く,ことに大和の結崎(ゆうざき)座の観阿弥世阿弥父子によって今日の能の基礎が固められるのである。
[猿楽の役者]
 当時の有名な役者たちを挙げると,〈田楽〉の一忠・花夜叉・喜阿弥・高法師(松夜叉)・増阿弥(〈田楽〉も猿楽とさして距離をおかぬものであって,世阿弥伝書にも総合的に論じられている),近江猿楽の犬王(いぬおう),大和猿楽の金春権守(こんぱるごんのかみ)・金剛権守などである。喜阿弥は音曲(謡)の名手,閑寂な能を演じ,世阿弥が少年時代に瞠目(どうもく)して観覧し,のちのちの語りぐさにしたという。…

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