一斑を見て全豹を知る(読み)いっぱんをみてぜんぴょうをしる

精選版 日本国語大辞典 「一斑を見て全豹を知る」の意味・読み・例文・類語

いっぱん【一斑】 を 見(み)て全豹(ぜんぴょう)を=知(し)る[=卜(ぼく)す・評(ひょう)す]

  1. 豹の皮の一斑を見て、豹であることを推知することから、物事一部を見て、全体を推しはかることをたとえていう。
    1. [初出の実例]「一斑(イッパン)をもって全豹(ゼンベウ)を推す事は出来ない。総て大体から着眼しなければならぬ」(出典黒潮(1902‐05)〈徳富蘆花〉一)
    2. [その他の文献]〔晉書‐王献之伝〕

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故事成語を知る辞典 「一斑を見て全豹を知る」の解説

一斑を見て全豹を知る

ものごとの一部を見て、全体を推しはかることのたとえ。

[使用例] この主人の固辞して曰く、野菜ならばもらってもよい。以て全豹を推すべし[太宰治*花吹雪|1943]

[由来] 「世説新語―方正」の次のようなエピソードから。四世紀の中国、とうしん王朝の時代の書家おうけんが、まだ子どもだったころのこと。あるとき、大人たちがちょサイコロを使うゲーム)をしているのを見て、片方の者に「形勢が悪いね」と話かけました。すると、その者は、「坊ちゃんは『かんちゅうより豹をうかがいて、時に一斑を見る(管を通してヒョウをのぞき見て、毛皮の模様の一つが目に入っているようなもので、全体の形勢が見えていないのですよ)』」と、子ども扱いにしました。プライドを傷つけられた王献之は、怒って立ち去ったということです。

〔異形〕一斑以て全豹を推す。

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ことわざを知る辞典 「一斑を見て全豹を知る」の解説

一斑を見て全豹を知る

皮の一斑を見てヒョウであること、またどのようなヒョウかを推知する。物事の一部を見て、全体を推しはかることのたとえ。「一斑」は全体のうち一部分のこと。

[使用例] 一斑をもって全豹を推すことは出来ない。すべて大体から着眼しなければならぬ[徳富蘆花*黒潮|1902~05]

[解説] 「晋書―王献之伝」にある「此郎また管中よりうかがい、時に一斑を見る」によることば。

〔異形〕一斑を見て全豹をぼくす/一斑を見て全豹を評す

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