世説新語(読み)せせつしんご(英語表記)Shi-shuo xin-yu

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

世説新語
せせつしんご
Shi-shuo xin-yu

中国後漢末から東晋末にいたる名士逸話集。宋の劉義慶の編。3巻。徳行,言語,文学,方正などの 36編に分類した書。書名はもと『世説』『世説新書』などといったが,北宋のとき『世説新語』となって,分類も現在の形に改められた。単なる逸話集ではなく,その編名からもわかるように,当時盛んであった人物批評を中心にして編集されている点で特色があり,正史の伝記を補う重要な資料である。世間の評判 (世説) を取入れているので,当時の口語を知る貴重な文献でもある。すぐれた文学作品として広く愛読され,多くの模倣作も生んだ。のち梁の劉孝標が施した注は,今日失われた書物を多く引用しており,資料として重んじられている。

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百科事典マイペディアの解説

世説新語【せせつしんご】

中国,南北朝の逸話集。《世説新書》とも。もと10巻,現存3巻。南朝宋の劉義慶〔403-444〕の編集。後漢〜東晋の名士についての逸話を36門に分類して収録したもの。時代思潮をよく反映し,個性・教養・ユーモアに富む。ことに清談の記録として貴重。文章は清新な六朝文の代表。梁の劉孝標の注がある。

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世界大百科事典 第2版の解説

せせつしんご【世説新語 Shì shuō xīn yǔ】

中国,南朝宋の王族,劉義慶(りゆうぎけい)(403‐444)の作というが,その幕下にいた文人の作とする説もある。原本は10巻あったが,現行本は3巻。おおむね後漢末から南朝宋初にかけての名士たちの逸話や人物批評を集めた書で,当時の社交界に行われた〈清談〉の雰囲気をよく伝えている。梁の劉孝標(462‐521)が異聞を集めて注を作り,唐代までは単に《世説》または《世説新書》とよばれた。日本で流行した本は明代に補われた《世説新語補》20巻本に拠るが,3巻本からも離れて後世の挿話を多く加えたものである。

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大辞林 第三版の解説

せせつしんご【世説新語】

中国の逸話集。南朝宋の劉義慶りゆうぎけい編。五世紀前半に成立。後漢から東晋しんに至る士大夫の逸話を記す。清談風の文体は六朝文を代表する。世説新書。世説。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

世説新語
せせつしんご

中国、南朝宋(そう)の劉義慶(りゅうぎけい)(403―444)が著した逸話集。後漢(ごかん)末から東晋(とうしん)までの人物の言行や逸話を、徳行、言語など36のテーマに分類し、集録している。この書は、初め単に『世説』とよばれていた。その後『世説新書』と改題され、唐代からは現在の名称も使われるようになり、宋代以後定着した。人物の言行や逸話を事実として記録しようとしている点で、史書の性格も帯びているが、人物の個性を表現するために、結果的にはかなり意図的なフィクションが混じっており、明らかに史実に反する話も多い。しかし簡潔な短文形式で示される個性の断面には、それぞれに貴族社会の風俗や価値観がうかがわれ、全体として魏晋(ぎしん)の時代相を鮮やかに映し出している。また当時の口語なども用いられているため、言語資料としても重視されている。
 なおこの書の理解に欠かせないのは、南朝梁(りょう)の劉孝標(462―521)の注である。劉孝標の注は、語釈は少なく、他の文献によって、本文を補足したり、あるいは事実に反していることを例示しつつ、『世説新語』の世界をより立体化している。本文に劣らぬ貴重な資料群である。[成瀬哲生]
『森三樹三郎訳『中国古典文学大系9 世説新語・顔氏家訓』(1969・平凡社) ▽目加田誠訳注『新釈漢文大系76~78 世説新語』(1975~78・明治書院) ▽竹田晃訳注『中国の古典21・22 世説新語』(1984・学習研究社) ▽井波律子著『中国人の機智――「世説新語」を中心として』(中公新書)』

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世界大百科事典内の世説新語の言及

【佚事小説】より

…中国,有名人の逸話や史書に記載されないような細かな事跡を記録したもの,またはその集。この代表的作品として南朝宋の臨川王劉義慶の撰に成る《世説新語》を挙げることができる。それには後漢から東晋に及ぶまでの有名人の逸話を徳行・言語・政治・文学・雅量・豪爽・傷逝・賢媛・任誕・倹嗇・汰侈・惑溺など36門に分類して収載している。…

【中国文学】より

… 〈小説〉はもともとささいな雑記の集録であった。魏・晋以後二つの方向をとり,干宝の《捜神記》と劉義慶の《世説(せせつ)新語》とがそれぞれを代表する。前者は怪異談を集め,超自然への恐れを核とする幻想の拡大へ向かい,仏教や道教の霊験記の類と親近性がある。…

※「世説新語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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