日本大百科全書(ニッポニカ) 「丁文江」の意味・わかりやすい解説
丁文江
ていぶんこう / ティンウェンチヤン
(1887―1936)
中国の地質学者。江蘇(こうそ)省の生まれ。イギリスのグラスゴー大学やドイツに留学、1911年に帰国した。1916年に北京(ペキン)に設立された地質調査所の初代所長に任命されたが、6年後には所長を辞して政界で活躍した。1929年にはふたたび地質学の研究に戻り、北京大学の教授に任命され、中国地質学会会長や中央研究院総秘書長などの要職に就任した。思想家の胡適(こてき)と親交があり、『努力週報』や『独立評論』などの思想評論誌の編集に参加し、自らも論文を公表し、「立学与科学」の論争で知られる。科学史の業績として、明(みん)の宋(そう)応星の『天工開物』を紹介した論文がある。
[大森昌衛]