中国、明(みん)代の産業技術書『天工開物(てんこうかいぶつ)』の著者。江西(こうせい)省南昌(なんしょう)府奉新県(現、江西省奉新県)の人。字(あざな)は長庚(ちょうこう)。1615年兄の宋応昇(1578―1646)とともに郷試に合格、その後の会試には5度失敗した。1635年袁州(えんしゅう)府分宜(ぶんぎ)県(江西省分宜県)の教育関係の小官となり、4年間の在任中に『画音帰正』『雑色文原耗』『天工開物』『巵言(しげん)十種』などを著した。『天工開物』以外は失われたとされてきたが、文化大革命期間中に、分宜県時代に書かれた4書が発見された。4書中、『論気』『談天』は種々の自然科学的な事物現象を論じたもので、『巵言十種』中の2種と思われ、『野議』は明末の社会を憂えさまざまな提言をしたもの、『思憐詩』は世相を憤り民を憂えた詩集である。1638年福建(ふっけん)省汀州(ていしゅう)府(福建省長汀(ちょうてい)県)の司法官、1643年安徽(あんき)省亳州(はくしゅう)(安徽省阜陽(ふよう)市付近)の知事となり、1644年辞職して帰郷。同年明が滅亡、兄が時世を嘆いて自殺すると隠遁(いんとん)し、清(しん)朝には仕えなかった。
[宮島一彦]
『藪内清訳注『天工開物』(平凡社・東洋文庫)』
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1590頃~1650頃
明末の学者。江西省奉新県の人。明代の代表的産業技術書である『天工開物』の著者として名高い。官は知州にとどまったが,在任中は人望があったという。
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…〈開物〉という語は《易経》の繫辞上伝に出る〈開物成務〉の語から来たもので,〈事物を開発し,事業を成就する〉という意味であり,実学ないしは技術を重視する思想である。1637年,中国の宋応星は《天工開物》と題する技術書を書いた。三枝博音の解釈によると,天工は人工に対する自然力を意味し,この自然力を活用する人工が開物であるという。…
…〈学問・技芸・工芸の(des sciences,des arts et des métiers)合理的事典〉という副題はその内容をよく示している。しかし,これより100年以上前に中国では宋応星が《天工開物》という詳細な技術誌を著していたことは注目されよう。 ヨーロッパで最初の技術史の書物はJ.ベックマンの《発明史》(1780‐1805,邦題《西洋事物起原》)で,個別的に古代からの文献を広く渉猟してまとめた事典である。…
…中国の明王朝が滅びる直前の1637年(崇禎10)に江西省奉新県出身の宋応星によって書かれた技術書。全3巻。…
※「宋応星」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...
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