宋応星(読み)ソウオウセイ

デジタル大辞泉 「宋応星」の意味・読み・例文・類語

そう‐おうせい【宋応星】

[1590ころ~1650ころ]中国末の学者。奉新(江西省)の人。あざな長庚ちょうこう食物衣服陶器農具その他、生活一般の技術を研究した。著「天工開物」など。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「宋応星」の意味・読み・例文・類語

そう‐おうせい【宋応星】

  1. 中国、明の地方長官。字(あざな)長庚(ちょうこう)。江西奉新の人。技術書「天工開物」の著者。(一五八七‐?

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「宋応星」の意味・わかりやすい解説

宋応星
そうおうせい
(1587―?)

中国、明(みん)代の産業技術書『天工開物(てんこうかいぶつ)』の著者。江西(こうせい)省南昌(なんしょう)府奉新県(現、江西省奉新県)の人。字(あざな)は長庚(ちょうこう)。1615年兄の宋応昇(1578―1646)とともに郷試に合格、その後の会試には5度失敗した。1635年袁州(えんしゅう)府分宜(ぶんぎ)県(江西省分宜県)の教育関係の小官となり、4年間の在任中に『画音帰正』『雑色文原耗』『天工開物』『巵言(しげん)十種』などを著した。『天工開物』以外は失われたとされてきたが、文化大革命期間中に、分宜県時代に書かれた4書が発見された。4書中、『論気』『談天』は種々の自然科学的な事物現象を論じたもので、『巵言十種』中の2種と思われ、『野議』は明末の社会を憂えさまざまな提言をしたもの、『思憐詩』は世相を憤り民を憂えた詩集である。1638年福建(ふっけん)省汀州(ていしゅう)府(福建省長汀(ちょうてい)県)の司法官、1643年安徽(あんき)省亳州(はくしゅう)(安徽省阜陽(ふよう)市付近)の知事となり、1644年辞職して帰郷。同年明が滅亡、兄が時世を嘆いて自殺すると隠遁(いんとん)し、清(しん)朝には仕えなかった。

[宮島一彦]

『藪内清訳注『天工開物』(平凡社・東洋文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宋応星」の意味・わかりやすい解説

宋応星
そうおうせい
Song Ying-xing

[生]万暦18(1590)頃
[没]永暦4(1650)頃
中国,明代の技術書『天工開物』 (1637) の著者。江西省奉新県の人。字は長庚。万暦 43 (1615) 年の挙人,崇禎7 (1634) 年分宜県 (江西省) 教諭,同 11年汀州府 (福建省) 推官,同 14年毫州 (安徽省) 知州など地方官を歴任して功績があった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「宋応星」の解説

宋応星(そうおうせい)
Song Yingxing

1590頃~1650頃

明末の学者。江西省奉新県の人。明代の代表的産業技術書である『天工開物』の著者として名高い。官は知州にとどまったが,在任中は人望があったという。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

旺文社世界史事典 三訂版 「宋応星」の解説

宋 応星
そうおうせい

1590ごろ〜1650ごろ
明末期の学者
江西省の人。産業技術書『天工開物 (てんこうかいぶつ) 』の著者として有名。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の宋応星の言及

【開物思想】より

…〈開物〉という語は《易経》の繫辞上伝に出る〈開物成務〉の語から来たもので,〈事物を開発し,事業を成就する〉という意味であり,実学ないしは技術を重視する思想である。1637年,中国の宋応星は《天工開物》と題する技術書を書いた。三枝博音の解釈によると,天工は人工に対する自然力を意味し,この自然力を活用する人工が開物であるという。…

【技術史】より

…〈学問・技芸・工芸の(des sciences,des arts et des métiers)合理的事典〉という副題はその内容をよく示している。しかし,これより100年以上前に中国では宋応星が《天工開物》という詳細な技術誌を著していたことは注目されよう。 ヨーロッパで最初の技術史の書物はJ.ベックマンの《発明史》(1780‐1805,邦題《西洋事物起原》)で,個別的に古代からの文献を広く渉猟してまとめた事典である。…

【天工開物】より

…中国の明王朝が滅びる直前の1637年(崇禎10)に江西省奉新県出身の宋応星によって書かれた技術書。全3巻。…

※「宋応星」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、和歌山県串本町の民間発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。同社は契約から打ち上げまでの期間で世界最短を目指すとし、将来的には...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android