貴州(読み)キシュウ

デジタル大辞泉 「貴州」の意味・読み・例文・類語

き‐しゅう〔‐シウ〕【貴州】

中国南部の省。省都貴陽雲貴高原東部に位置し、山がちで、水銀や木材を産し、稲作が行われる。ミャオ族など少数民族が多い。人口、3725万(2005)。コイチョウ

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精選版 日本国語大辞典 「貴州」の意味・読み・例文・類語

き‐しゅう‥シウ【貴州】

  1. 中国の省の一つ四川省の南に続く高原地帯に位置する。省都貴陽市。耕地面積は少なく木材が主要産物。地下資源も豊富で、中でも水銀は中国随一の産出量を誇る。中華人民共和国成立後、機械セメントガラス製紙などの工業が発達している。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「貴州」の意味・わかりやすい解説

貴州(省)
きしゅう / コイチョウ

中国西南部の省。西は雲南(うんなん/ユンナン)省、北は四川(しせん/スーチョワン)省と重慶(じゅうけい/チョンチン)市、東は湖南(こなん/フーナン)省、南は広西(こうせい/カンシー)チワン族自治区と接する。面積約17万4000平方キロメートル、人口3676万6337(2000)。2地区、3自治州、4地級市、9県級市、56県、11自治県、2特区がある(2001)。古くはミャオ族の活動地域で、中国王朝の本格的支配は15世紀初めからであり、今日も漢族以外にミャオ族、プイ族、トン族その他の少数民族が多い。略称は黔(けん)または貴。省都は貴陽(きよう/コイヤン)。雲貴(うんき/ユンコイ)高原東部、西に高く東に低い貴州高原上に位置するが、揚子江(ようすこう/ヤンツーチヤン)と珠江(しゅこう/チューチヤン)の分水嶺(ぶんすいれい)である苗嶺(びょうれい)山脈や北部の大婁(だいろう)山脈が横たわり、揚子江支流の烏江(うこう/ウーチヤン)などや珠江水系の南盤江、北盤江による深い峡谷が交錯し、「地に三里の平らなし」というほど、広い平地は少ない。気候は1月の平均が4~9℃、7月は20~28℃と暖冬涼夏、年降水量も900~1500ミリメートルと比較的多い。なお、秋から冬にかけては寒暖両気団の停滞で曇天や雨天が多く、貴陽は「天に三日の晴れなし」といわれる。

 農産物では、穀物生産の約70%を占め、全省に広くみられる水稲のほかに、北部や西部トウモロコシ、南東部の小麦、中部の菜種、貴陽東部の全国的に有名なタバコがあるが、新中国成立後、烏江水系に建設された水利施設がこれらの農業を支えている。また、豊かな木材蓄積量をもつ森林では、スギや全国一の檜皮(ひわだ)、漆を産する。地下資源は、北東部の銅仁(どうじん/トンレン)にある全国最大の水銀をはじめ、中部の燐(りん)鉱石、西部の鉄鉱石、貴陽周辺や西部の石炭など種類も多い。新中国成立後発展した工業では、貴陽、遵義(じゅんぎ/ツンイー)の鉄鋼、機械、化学、紡織のほか、凱里(がいり/カイリー)の製紙、威寧(いねい)の製糖、貴定のたばこ、有名な茅台酒(マオタイチウ)などがあり、伝統工芸品の漆器、月琴もみられる。なお、烏江では出力63万キロワットの烏江渡発電所など電力開発が進んでいる。解放前は貧弱であった鉄道も解放後の建設で総延長は約1100キロメートルとなり、約3万余キロメートルの自動車道路、貴陽を中心とする航空路など交通の発展も著しい。主要都市としては、省都貴陽、北部の中心で1935年長征途中の中国共産党の重要会議が開かれた遵義、西部の安順(あんじゅん/アンシュン)と石炭都市六盤水(りくばんすい/リウパンショイ)、南部の黔南(けんなん)プイ族ミャオ族自治州の都勻(といん/トゥーユン)、南東部の黔東南ミャオ族トン族自治州の凱里がある。省内には貴陽の花渓公園、南西部の黄果樹瀑布(こうかじゅばくふ)などの景勝地も多く、南部の石灰岩地帯の鍾乳洞(しょうにゅうどう)の観光開発も期待されている。なお、北東部の武陵(ぶりょう)山脈には金糸猿など珍しい動植物が多い。

[小野菊雄]

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百科事典マイペディア 「貴州」の意味・わかりやすい解説

貴州[省]【きしゅう】

中国南西部の省。簡称は黔(けん)。省都は貴陽。地勢は西高東低で標高1600―500m,起伏に富み,河川は急流で,幹線道路周辺を除き交通は不便。桐油,漆,白蝋,柞蚕糸(さくさんし),薬材,水銀,アルミニウム,鉄(遵義),石炭,金など豊富な鉱産物を利用して近代工業が貴陽を中心に興っている。住民は漢族のほかミヤオ族プイ族トン族などの少数民族がいる。〈夜郎自大〉の故事で有名な夜郎国は現在の貴州省内にあった。17万6100km2。4134万人(2014)。

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