改訂新版 世界大百科事典 「三星財閥」の意味・わかりやすい解説
三星財閥 (さんせいざいばつ)
韓国の代表的な財閥,企業グループ。現在ではサムスン・グループと称することが多い。中核企業である三星物産(2004年12月期の資本金8017億ウォン,売上高9兆6964億ウォン)は日本統治時代に醸造業に着手していた李秉喆(りへいてつ)(1910-87)が1937年に設立した三星商会が前身で,これが47年の三星物産公司を経て,52年に現在の組織となった。その後アメリカの援助物資を扱う製糖・梳毛・製粉工業に進出(1953年第一製糖,54年第一毛織を設立,58年には第一製糖に製粉部門を併設),三星グループは朝鮮戦争後の復興期に,輸入依存度の高かった消費財の国産化を行うことによって事業を拡大し,50年代末には韓国屈指の財閥になった。当初は軽工業中心に多角化を進めていたが,69年には三星電子(2004年12月期の資本金8975億ウォン,売上高57兆6324億ウォン),74年には三星石油化学と三星重工業を設立し,重化学工業,電気機械工業の分野へも進出した。さらに三星物産が75年に政府から総合商社第1号として指定され,グループ企業の輸出拡大に貢献している。サムスン・グループは軽工業,重化学工業,機械工業のほか,保険,デパート,ホテル,大学等にまで幅広く存在している。金融機関への出資も多く,金融業への進出が進んでいる。また,近年は半導体,コンピューター,遺伝子工学等先端産業の拡大に力を入れている。
執筆者:鈴木 明彦+金子 文夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報