改訂新版 世界大百科事典 「三裂星雲」の意味・わかりやすい解説
三裂星雲 (さんれつせいうん)
Trifid Nebula
M20,NGC6514。いて座にある散光星雲。へび座からいて座にかけて,イーグル星雲M16,オメガ星雲M17,三裂星雲M20,干潟星雲M8の四つの明るい星雲が並んでいる。三裂星雲は手前にある星間塵によって吸収されているので,三つに裂けたようになって見えている。3300光年もの距離にあるが,5.8等級くらいの明るさに見えている。直径が30光年にも及ぶ大きな星雲で,中央部には高温の若々しい星が多くあり,これらの星の放射する紫外光によって星雲ガスが電離されて球形に輝いている。見かけの大きさは29′×27′もある。星雲ガスの密度は1cm3あたり原子100個程度で,一般の星間空間より100倍くらい高くなっている。そのため,距離が遠いにもかかわらず明るく見えている。
執筆者:磯部 琇三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報