バズーカ砲(読み)ばずーかほう(英語表記)bazooka

翻訳|bazooka

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バズーカ砲」の意味・わかりやすい解説

バズーカ砲
ばずーかほう
bazooka

戦車攻撃のため第二次世界大戦中アメリカで開発されたロケット弾発射機。軽量簡単な滑腔(かっこう)砲身の発射筒で、砲身の先端がらっぱ状に広くなり、これが当時の喜劇俳優ボブ・バーンズ愛用のらっぱ「バズーカ」に似ていたことにちなんで名づけられた。兵士1人が肩に担いで照準・発射し、ほかの1人が弾薬後方から装填(そうてん)する。砲身は軽金属製の円筒で、簡単な照準具と発電機、引き金が装置されている。弾丸は成形炸薬(さくやく)・弾頭着火の弾底信管のほか、推進用火薬を内蔵し、この推力によって飛行する。弾丸が命中すると成形炸薬のモンロー効果(ノイマン効果ともいう)で発生した数千度以上のジェットで戦車の装甲を溶融し、内部の兵員・機材を殺傷破壊する。陸上自衛隊装備のバズーカ砲は、89ミリロケット発射筒M20改4で、全長1535ミリメートル、重量6.8キログラム、電気発火方式、発射速度は毎分8発(最大)、弾丸初速は102メートル/秒、最大有効射程600メートル、弾丸重量は3.3キログラム。

[小橋良夫・猪口修道]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バズーカ砲」の意味・わかりやすい解説

バズーカ砲
バズーカほう
bazooka

アメリカ軍が第2次世界大戦中,1942年の北アフリカ上陸作戦で初めて登場させた口径約 60mmのロケット砲の俗称。滑腔で,両端が開いた長さ約 1.5m,重量約 6.6kgの鋼鉄製の筒を肩に乗せて発射する。近接戦闘で戦車,トーチカへの攻撃に使用した。ドイツが模倣した同型砲はパンツァーシュレックと呼ばれた。厚さ 13cmの鉄板も破る威力があったが,飛距離が短く,命中精度が低いことが難点であった。その後大幅に改良され,朝鮮戦争では,アメリカ軍はアルミニウム製,口径 89mmのバズーカ砲を使った。

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