三遊亭円馬(読み)さんゆうていえんば

日本大百科全書(ニッポニカ) 「三遊亭円馬」の意味・わかりやすい解説

三遊亭円馬
さんゆうていえんば

落語家

[関山和夫]

初代

(1828―80)本名野末亀吉(のずえかめきち)。三遊亭円朝(えんちょう)門下明治前半の三遊派の雄。晩年東京・東両国駒止(こまどめ)に住み「駒止の円馬」とよばれた。

[関山和夫]

2代

(1854―1918)本名竹沢斧太郎(おのたろう)。円朝門下。円治、円弥、円雀(えんじゃく)から2代目襲名。1891年(明治24)大阪へ行き定住。名人と称された。

[関山和夫]

3代

(1882―1945)本名橋本卯三郎。大阪で落語家月亭都勇(げっていとゆう)の子に生まれ、7歳で小勇。笑福亭木鶴(しょうふくていきかく)に入門し、小鶴(こかく)から都木松(ときまつ)。浮世節の立花家橘之助(きつのすけ)一座に入って上京し、橘松(きつまつ)と改名。立花家左近ともなり、三遊亭円左に師事。大阪落語の東遷に尽力。1909年(明治42)7代朝寝坊むらくになり、やがて橋本川柳(せんりゅう)と改めて大阪へ帰る。18年(大正7)3代目襲名。3代三遊亭金馬、8代桂文楽(かつらぶんらく)に影響を与える。

[関山和夫]

4代

(1899―1984)本名森田彦太郎。2代・3代円馬に学ぶ。円童、とん馬、小円馬から4代目襲名。

[関山和夫]

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新撰 芸能人物事典 明治~平成 「三遊亭円馬」の解説

三遊亭 円馬(4代目)
サンユウテイ エンバ


職業
落語家

肩書
落語芸術協会相談役

本名
森田 彦太郎(モリタ ヒコタロウ)

別名
前名=三遊亭 小円馬

生年月日
明治32年 1月18日

出生地
東京・小石川

出身地
大阪

経歴
9歳で2代目円馬門下となり、明治39年初高座。大正12年小円馬で真打ち。昭和22年4代目円馬を継いだ。「宮戸川」「淀五郎」など芝居ばなしや人情ばなしが得意で、重厚な芸風に定評があった。

受賞
勲五等双光旭日章

没年月日
昭和59年 11月16日 (1984年)

家族
父=三遊亭 左円太(落語家)

伝記
談志絶倒 昭和落語家伝落語―知れば知るほど対談 落語芸談〈PART3〉落語長屋の知恵 立川 談志 著,田島 謹之助 写真橘 左近 著川戸 貞吉 編矢野 誠一 著(発行元 大和書房実業之日本社弘文出版青蛙房 ’07’07’93’86発行)


三遊亭 円馬(3代目)
サンユウテイ エンバ


職業
落語家

本名
橋本 卯三郎

別名
初名=月亭 小勇,前名=笑福亭 都木松,立花家 橘松,月亭 小文都,立花家 左近,朝寝坊 むらく(7代目)(アサネボウ ムラク),橋本 川柳

生年月日
明治15年 11月3日

出生地
大阪府 大阪市北区大工町

経歴
月亭都勇の子。明治20年7歳で月亭小勇を名乗り初高座。21年笑福亭木鶴の門に入り、笑福亭小鶴、次いで都木松と改名。上京して音曲師立花家橘之助に師事、立花家橘松、同歌橘、同左近と名乗った。43年真打となり朝寝坊むらく。のち師匠橘之助と仲違い、橋本川柳となったが、大阪に帰り3代目三遊亭円馬を襲名した。名人芸をうたわれ、大阪落語を東京に紹介した功労者。門弟に8代目桂文楽。

没年月日
昭和20年 1月13日 (1945年)

家族
父=月亭 都勇(落語家)


三遊亭 円馬(初代)
サンユウテイ エンバ


職業
落語家

本名
野末 亀吉

生年月日
文政11年

経歴
素人連の出で、翁家らん馬門で市馬と称したといわれるが、出自・前半生はつまびらかでない。文久・元治(1861〜65年)の頃、初代三遊亭円朝の一座がまだ人材不足であったため、請われて12歳も年下の円朝門下に加わり、三遊亭円馬と名乗る。人情噺にすぐれ、ものによっては師の円朝を凌駕するほどだったといわれる。円朝一門の四天王の一人といわれ、明治前半の三遊派の重鎮であった。晩年東両国駒止に住んだところから駒止の円馬と呼ばれる。

没年月日
明治13年 10月11日 (1880年)


三遊亭 円馬(2代目)
サンユウテイ エンバ


職業
落語家

本名
竹沢 斧太郎

生年月日
安政1年

経歴
三遊亭円朝門下となり、円路、円雀を名乗って、明治17年2代目円馬を襲名。24年から大阪に移る。人情噺、中でも「五人廻し」を最も得意とし、他に「松曳」「子は鎹」「田の久」などを演じた。また、創作力もあり「迷子札」「人面草」など、高座にはかけなかった傑作があった。晩年は円翁と称した。

没年月日
大正11年 10月1日 (1922年)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

20世紀日本人名事典 「三遊亭円馬」の解説

三遊亭 円馬(3代目)
サンユウテイ エンバ

明治〜昭和期の落語家



生年
明治15(1882)年11月3日(戸籍明治15年11月4日)

没年
昭和20(1945)年1月13日

出生地
大阪市北区大工町

本名
橋本 卯三郎

別名
初名=月亭 小勇,前名=笑福亭 都木松,立花家 橘松,月亭 小文都,立花家 左近,朝寝坊 むらく(7代目)(アサネボウ ムラク),橋本 川柳

経歴
月亭都勇の子。明治20年7歳で月亭小勇を名乗り初高座。21年笑福亭木鶴の門に入り、笑福亭小鶴、次いで都木松と改名。上京して音曲師立花家橘之助に師事、立花家橘松、同歌橘、同左近と名乗った。43年真打となり朝寝坊むらく。のち師匠橘之助と仲違い、橋本川柳となったが、大阪に帰り3代目三遊亭円馬を襲名した。名人芸をうたわれ、大阪落語を東京に紹介した功労者。門弟に8代目桂文楽。


三遊亭 円馬(4代目)
サンユウテイ エンバ

大正・昭和期の落語家 落語芸術協会相談役。



生年
明治32(1899)年1月18日

没年
昭和59(1984)年11月16日

出生地
東京・小石川

出身地
大阪

本名
森田 彦太郎(モリタ ヒコタロウ)

別名
前名=三遊亭 小円馬

主な受賞名〔年〕
勲五等双光旭日章

経歴
9歳で2代目円馬門下となり、明治39年初高座。大正12年小円馬で真打ち。昭和22年4代目円馬を継いだ。「宮戸川」「淀五郎」など芝居ばなしや人情ばなしが得意で、重厚な芸風に定評があった。


三遊亭 円馬(2代目)
サンユウテイ エンバ

明治・大正期の落語家



生年
安政1年(1855年)

没年
大正11(1922)年10月1日

本名
竹沢 斧太郎

経歴
三遊亭円朝門下となり、円路、円雀を名乗って、明治17年2代目円馬を襲名。24年から大阪に移る。人情噺、中でも「五人廻し」を最も得意とし、他に「松曳」「子は鎹」「田の久」などを演じた。また、創作力もあり「迷子札」「人面草」など、高座にはかけなかった傑作があった。晩年は円翁と称した。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「三遊亭円馬」の意味・わかりやすい解説

三遊亭円馬 (さんゆうていえんば)

落語家。(1)初代(1828-80・文政11-明治13) 本名野末亀吉。2代三遊亭円生門下の名手。江戸両国の駒留に住んだところから〈駒留の円馬〉と呼ばれた。(2)2代(1857-1918・安政4-大正7) 本名竹沢斧太郎。三遊亭円朝門下。大阪へ行き,晩年は円翁となった。(3)3代(1880-1945・明治13-昭和20) 本名橋本卯三郎。大阪の落語家,月亭都勇(げつていとゆう)の子。立花屋左近から7代朝寝坊むらくになり,橋本川柳の名で大阪へ行き,3代円馬を襲名した。細緻な至芸をうたわれる。(4)4代(1899-1984・明治32-昭和59) 本名森田彦太郎。2代,3代に師事。東京生れだが,上方ネタも得意とした。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「三遊亭円馬」の解説

三遊亭円馬(2代) さんゆうてい-えんば

1854-1918 明治-大正時代の落語家。
安政元年生まれ。初代三遊亭円朝に入門。明治17年2代円馬を襲名。24年大阪にうつり,定住した。円朝ゆずりの人情噺(ばなし)で名人といわれた。晩年,円翁と改名。大正7年12月18日死去。65歳。江戸出身。本名は竹沢斧太郎。前名は三遊亭円雀。
【格言など】破(ば)ら破らになって音なし古扇(辞世)

三遊亭円馬(3代) さんゆうてい-えんば

1882-1945 明治-昭和時代前期の落語家。
明治15年11月3日生まれ。26年立花家橘之助(きつのすけ)一座にはいって上京。初代三遊亭円左(えんざ)に師事。42年7代朝寝坊むらくを名のり真打。のち橋本川柳と改名して大阪にもどり,大正7年3代円馬を襲名した。昭和20年1月13日死去。64歳。大阪出身。本名は橋本卯三郎。

三遊亭円馬(4代) さんゆうてい-えんば

1899-1984 大正-昭和時代の落語家。
明治32年1月18日生まれ。大阪で2代三遊亭円馬に入門し,とん馬を名のる。3代円馬への譲り弟子となって小円馬と改名。昭和19年上京して落語芸術協会に所属,22年4代円馬を襲名した。昭和59年11月16日死去。85歳。東京出身。本名は森田彦太郎。

三遊亭円馬(初代) さんゆうてい-えんば

1828-1880 幕末-明治時代の落語家。
文政11年生まれ。初代三遊亭円朝の門下。3,4代の円生,2代円橘(えんきつ)とともに円朝門下の四天王といわれる。晩年,東京両国駒留(こまどめ)にすみ,「駒留の円馬」とよばれた。明治13年10月11日死去。53歳。本名は野末亀吉。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三遊亭円馬」の意味・わかりやすい解説

三遊亭円馬(3世)
さんゆうていえんば[さんせい]

[生]1882.11.3. 大阪
[没]1945.1.13.
落語家。本名橋本卯三郎。上方落語家月亭都勇の子として生れた。2世三遊亭円馬の門弟。7世朝寝坊むらくを経て,1918年3世を襲名。東京,大阪の両方に通じる芸をもち,『愛宕山』などを得意とした。また,後進の育成に尽力したことでも知られる。

三遊亭円馬(2世)
さんゆうていえんば[にせい]

[生]安政1(1854)
[没]1918.12.18. 大阪
落語家。本名竹沢斧太郎。水戸藩士の子。三遊亭円朝の門下。円弥,円雀を経て,1884年2世円馬となる。師ゆずりの人情噺や『五人回し』などを得意とし,上方でも高く評価された。

三遊亭円馬(4世)
さんゆうていえんば[よんせい]

[生]1899.1.18. 東京
[没]1984.11.16. 東京
落語家。本名森田彦太郎。2世および3世三遊亭円馬の門弟。 1947年4世円馬となる。『せむし茶屋』など上方系の噺に通じた。

三遊亭円馬(1世)
さんゆうていえんば[いっせい]

[生]文政11(1828)
[没]1880.10.11.
落語家。本名野末亀吉。2世三遊亭円生の弟子で,のち円朝の門下。「駒留 (こまどめ) の円馬」と称された名手。

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367日誕生日大事典 「三遊亭円馬」の解説

三遊亭 円馬(4代目) (さんゆうてい えんば)

生年月日:1899年1月18日
大正時代;昭和時代の落語家
1984年没

三遊亭 円馬(3代目) (さんゆうてい えんば)

生年月日:1882年11月3日
明治時代-昭和時代の落語家
1945年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の三遊亭円馬の言及

【愛宕山】より

…落語。上方落語で,3代目三遊亭円馬が東京へ移した。芸者や幇間を連れた旦那が,京都の愛宕山でかわらけ投げに興じたのちに小判を谷底へ投げ,拾った者にくれるというので,幇間一八(いつぱち)が番傘につかまって谷底へおりて小判を拾い,羽織や着物を裂いて縄にして竹に結び,その弾力で飛びあがった。…

※「三遊亭円馬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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