化学辞典 第2版 「三酸化二鉄」の解説
三酸化二鉄
サンサンカニテツ
diiron trioxide, iron sesquioxide
Fe2O3(159.69).酸化鉄(Ⅲ)ともいう.鉄の酸化物としてはもっとも普通のもの.一般に赤色の粉末だが,製法,処理により黄赤,赤褐色,紫,黒色を呈する.α形とγ形があり,硝酸塩,水酸化物を空気中で焼くとα形が,四酸化三鉄を徐々に酸化するとγ形が得られる.高温ではα形になる.α形は天然には赤鉄鉱として産出する.密度5.12~5.24 g cm-3.融点1550 ℃.モース硬さ5.5~6.5.強熱すると分解してFe3O4になる.水に不溶.酸には徐々に溶けて鉄(Ⅲ)塩になる.湿った空気中では水蒸気を強く吸収する.赤色顔料(べんがら),磁性材料,触媒,研磨剤に用いられる.[CAS 1309-37-1]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報