上麻生村(読み)かみあそうむら

日本歴史地名大系 「上麻生村」の解説

上麻生村
かみあそうむら

[現在地名]前沢町白山しらやま

目呂木もくろぎ村の北に位置し、東は北上川に臨む。対岸母体もたい村。平安時代後期、当地に安倍氏の柵が設けられており、「陸奥話記」に康平五年(一〇六二)九月七日のこととして、白鳥しろとり村を経て「大麻生野及び瀬原の二の柵を攻めて抜き」と記される。寛永一八年(一六四一)の上麻生村検地帳(阿曾沼文書)によると高一〇八貫四五〇文、名請人数四三(うち他村より入作四人)正保郷帳では田方四四貫八三四文・畑方四六貫六八五文、ほかに新田高一二貫四二九文。「安永風土記」では田五二貫九〇四文・畑五四貫二九六文(うち茶畑四一一文)、うち蔵入七二貫五七四文・給所三四貫六二六文。人頭一二五・代数有之百姓一三、家数一二一(うち水呑七)・人数六六八、馬一一六。


上麻生村
かみあそうむら

[現在地名]高岡市上麻生・戸出上麻生といでかみあそう戸出大清水といでおおしみず葦附あしつきなど

中田なかだ町の西、庄川下流の両岸に沿う。庄川の東遷により村が分断され、寛文九年(一六六九)には船渡しが設けられた(中田町誌)。天正一一年(一五八三)八月二〇日の知行方目録(新田家文書)利波となみ般若野はんにやの麻生郷とみえ、同郷の一千六三俵余など都合五千俵が林助右衛尉に与えられている。元和五年(一六一九)の家高新帳では戸出又右衛門組に属して上浅生とみえ、役家数一一。同八年の針山用水庄川口夫丸未進書上覚(金子文書)に上麻生村とみえ、役夫の未進五一人。寛永九年(一六三二)の古高三八三石余、新開高等五八石余。


上麻生村
かみあさおむら

[現在地名]麻生区上麻生

都筑つづき郡に属し、西方から南境へ麻生川が流れ、東は王禅寺おうぜんじ村・下麻生村、西は片平かたひら村、南は多摩郡三輪みわ(現東京都町田市)、北は橘樹たちばな高石たかいし村に接する南北に細長い村。たけはなおおやと亀井かめいなどの小字がある。

元弘三年―建武二年(一三三三―三五)と推定される足利尊氏・同直義所領目録(県史三)に「麻生郷時顕」とみえ、鎌倉時代後期は金沢氏の一族甘縄時顕の所領で、鎌倉幕府崩壊後は足利尊氏領となった。康永四年(一三四五)二月一〇日の橘某書状(同書)には「保寧寺領武蔵国麻生郷内本郷堀内乳牛役」とみえ、諸公事が免除されており、尊氏から鎌倉保寧ほねい(足利氏祈願所)へ寄進されたものか。


上麻生村
かみあそうむら

[現在地名]宇佐市麻生

中麻生村の南西、伊呂波いろは川の最上流域に位置し、東はなだ村、南は下毛郡東谷ひがしだに(現本耶馬渓町)、西は山口やまぐち村。文明一〇年(一四七八)八月一七日大内政弘は「宇佐郡横山内松原参町地吉田主計允武賢跡」を宝陀ほうだ寺に寄進しているが(「大内政弘寄進状」山口文書)、これは地内松原まつばらのことと思われる。近世の領主の変遷は四日市村に同じ。小倉藩元和人畜改帳に村名がみえ、高一千四四五石余、人数二九五、百姓四三(うち小庄屋五)・名子三一、牛二七・馬八。


上麻生村
かみあそうむら

[現在地名]蒲生町上麻生

下麻生村の南、日野川右岸の平地に位置する。古くは上七板かみなないたとよばれており、応安二年(一三六九)八月日の勧進奉加交名(山部神社文書)に「五斗 なゝいたあわせとの」とある。元和四年(一六一八)旗本関領となり、同領で幕末に至る。近世の郷村帳類では下麻生村と合せ麻生村として高付されるが、当村一村では高四八三石余。


上麻生村
かみあそうむら

[現在地名]七宗町上麻生

飛騨川と神淵かぶち川の合流点に本郷があり、飛騨川上流のかちほら村、神淵川北方の飯高いいだか村・追洞おつぼら村・室兼むろがね村・葛屋くずや村を併せて近世初期まで上麻生村といった。戦国時代末期と思われる年月日未詳のかち田年貢銭目録(斎藤文書)に「あさう上下一百八十参貫」とある。初め金森長近領で、関ヶ原の戦以後幕府領となり、慶長郷帳では麻生村として高三〇三石余。元和元年(一六一五)から尾張藩領となり、正保郷帳では田方五六石余・畑方一六三石余・山年貢二石とある。明暦覚書では概高四七〇石余、旱損所で、慶安四年(一六五一)の人数九〇六、馬三七。宝暦六年(一七五六)の家数二七〇・人数一千三四七(濃陽志略)。「濃州徇行記」では「飛騨川と七宗山根回りをかたどり本郷と支村共に八ケ村にわかる」とあり、前記五村のほかに「大崎、柿ケ野は民家わかるれども高わけはなし、勝野洞へつけり」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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