宇佐市(読み)ウサシ

デジタル大辞泉 「宇佐市」の意味・読み・例文・類語

うさ‐し【宇佐市】

宇佐

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日本歴史地名大系 「宇佐市」の解説

宇佐市
うさし

面積:一七八・二三平方キロ

県の北部に位置し、国東くにさき半島の頸部を占める。北は周防灘に臨み、南は宇佐郡安心院あじむ町・院内いんない町、東は豊後高田市と速見郡山香やまが町、西は中津市と下毛郡三光さんこう村・本耶馬渓ほんやばけい町と接する。東西約一八キロ・南北約一五キロの範囲内に山地・丘陵地・台地・低地が東西方向の帯状に連続し、北が低く南が高い。中央部を駅館やつかん川、東部を寄藻よりも川、同川支流向野むくの川、西部を伊呂波いろは川・五十石ごじつこく川がそれぞれ北流し周防灘に注ぐ。北部は中津平野の東部に当たる沖積平野(通称宇佐平野)洪積台地が広がり、県下一の穀倉地帯である。南部は耶馬渓溶岩などが基盤となった山地と丘陵地で、東から西にかけて御許おもと(六四七メートル)くもヶ岳(六五三・九メートル)和尚かしよう(三二七・三メートル)妙見みようけん(四四四メートル)いし(五三九・五メートル)稲積いなづみ(四〇六メートル)たか(五〇〇メートル)仙岩せんがん(五七二メートル)などの山々が連なる。麻生あそう地区の仙岩山や高野こうや堂は国指定名勝耶馬渓の一部である。北部をJR日豊本線、中央部を国道一〇号が並行して大きく曲折しながら東西に走り、南部中央から西部中央にかけて北西―南東方向にバイパス(宇佐道路)が通る。また海岸部を県道中津―高田線が東西に走り、国道一〇号から市域中央部で同三八七号が南方へ、西部で同二一三号が北西方へそれぞれ分岐する。市域南東部、通称宇佐盆地に全国八幡宮社の総本宮宇佐神宮がある。市名は古代以来の宇佐郡の郡名を継承する。

〔原始〕

旧石器時代の遺跡は駅館川東岸台地上の本丸ほんまる遺跡をはじめ、四日市よつかいち丘陵上の山本開拓やまもとかいたく遺跡・小倉池おぐらのいけ遺跡などがある。縄文時代の遺跡は早期の別府びゆう遺跡、前期の虚空蔵寺東こくぞうじひがし遺跡、後期の尾畑おばたけ遺跡・西和田にしわだ遺跡・立石たていし貝塚・石原いしわら貝塚などがある。立石貝塚石原貝塚によって当時の海岸線を復元すると、周防灘は現在よりもかなり内陸部に入込んでいた。弥生時代の遺跡は濃密である。駅館川東岸の宇佐台地に東上田ひがしうえだ遺跡(前期―中期)川部かわべ遺跡(前期末―後期)本丸遺跡(前期―後期)、西岸に別府遺跡(後期)、四日市台地に台の原遺跡(前期―中期)などの集落跡、宇佐台地の野口のぐち遺跡(前期―中期)樋尻道ひじりみち遺跡(中期)、本丸遺跡(後期)天津あまつ丘陵の京徳きようとく遺跡(後期)に代表される集団墓跡がある。別府遺跡の後期の住居跡からはわが国で初めての朝鮮式小銅鐸、上原うえのはる遺跡から広形銅矛・鏡片、上浦かみうら遺跡では銅製鋤先などが出土しており、この地域は宇佐平野の青銅器集中地帯となっている。

宇佐市
うさし

2005年3月31日:宇佐市と宇佐郡安心院町・院内町が合併
【安心院町】大分県:宇佐郡
【院内町】大分県:宇佐郡
【宇佐市】大分県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宇佐市」の意味・わかりやすい解説

宇佐〔市〕
うさ

大分県北部にある市。中津平野の東部,駅館川流域に開け,北に周防灘を臨む。 1967年宇佐町,駅川町,四日市町,長州町の4町が合体して市制。 2005年院内町,安心院町と合体。中心市街地のうち四日市は駅館川左岸に開けた市場町で,江戸時代には日田の西国郡代の出張陣屋が置かれ,この地方の天領の行政中心地でもあった。中央に東本願寺,西本願寺の九州別院で九州御坊と呼ばれる二大伽藍がある。駅川は行政中心地区で,機械,織物,醸造,水産加工業が立地。長州は駅館川河港として栄えた。南宇佐は全国八幡宮の総本社である宇佐神宮鳥居前町で,大分県の代表的観光地の一つ。市域北部の駅館川,寄藻川の沖積低地および干拓田では米作 (宇佐米) ,洪積台地ではブドウなどの果樹,野菜の栽培が行なわれる。県内でも特に古くから開けた地区で,葛原古墳四日市横穴群,川部・高森古墳群 (ともに国指定史跡) のほか,4~5世紀の古墳が多い。また白鳳時代のものとされる法鏡寺廃寺跡 (国指定史跡) ,虚空蔵寺跡などは当時の仏教文化の隆盛を示している。宇佐神宮は本殿が国宝に,社叢 (イチイガシ林) は国の天然記念物に,境内は国の史跡にそれぞれ指定。内陸部の駅館川上流域および支流域は古くからの農業地域で,条里制の遺構がみられる。東椎屋の滝,大谷渓谷など景勝地が広がり,一部は耶馬日田英彦山国定公園に属する。 JR日豊本線,国道 10号線,387号線,500号線,宇佐別府道路が通る。面積 439.05km2。人口 5万2771(2020)。

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