精選版 日本国語大辞典「下心」の解説
した‐ごころ【下心】
〘名〙
※万葉(8C後)一・五「あみの浦の 海処女(あまをとめ)らが 焼く塩の 思ひそ焼くる 吾が下情(したごころ)」
※落窪(10C後)二「した心には、いみじとねたかりし答(たふ)すばかりの身にもがなと思ひししるしにやと」
② かねて心に期すること。前からのたくらみ。ひそかに持っている目的、希望。
※狂言記・六地蔵(1700)「去ながら、身どもがせいだけと申たも下心(シタココロ)有て申たことでござる」
※暗夜行路(1921‐37)〈志賀直哉〉一「そんな下心(シタゴコロ)を自ら意識しつつ出掛けて行く事は」
③ 他の物事にかこつけて、その文などの中にこめられている意味。かくされている意味。寓意。〔日葡辞書(1603‐04)〕
④ 漢字の脚(あし)の一つ。「志」「思」や「恭」「慕」などの「心」「㣺」の部分をいう。この脚をもつ字は、字典で「心」部に属する。〔運歩色葉(1548)〕
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