下知(読み)ゲジ

デジタル大辞泉 「下知」の意味・読み・例文・類語

げ‐じ〔‐ヂ〕【下知】

[名](スル)《「げち」とも》
上から下へ指図すること。命令
「―ヲ受ケル」〈和英語林集成
四国の者共に、いくさようせよと―せよかし」〈平家一一
下知状げじじょう」の略。
「鎌倉殿御―を添へて遣はさる」〈義経記・八〉

げ‐ち【下知】

[名](スル)げじ(下知)

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精選版 日本国語大辞典 「下知」の意味・読み・例文・類語

げ‐じ‥ヂ【下知】

  1. 〘 名詞 〙 ( 後世「げち」とも )
  2. 上から下へ指図すること。命令。いいつけ。
    1. [初出の実例]「於是下知諸国、令治部処分焉」(出典:続日本紀‐宝亀一〇年(779)八月庚申)
    2. 「たとへ地を割、龍宮までも是非にたづねて取出せと下知(ゲヂ)する時」(出典:浮世草子・武家義理物語(1688)一)
  3. げじじょう(下知状)」の略。
    1. [初出の実例]「向後付奉行人等、引合事書与御下知草案、加内評定之後、可清書之由」(出典:吾妻鏡‐寛元元年(1243)五月二三日)
    2. 「本領に常陸を添へて、子々孫々にいたるまで給はるべき由なり。鎌倉殿御下ちを添へてつかはさる」(出典:義経記(室町中か)八)
  4. 連歌俳諧などで、命令的な表現を使って詠むこと。また、その表現。
    1. [初出の実例]「まかせたらなむは下知の心也、下知のなん、歌におほく候」(出典:長六文(1466))

下知の語誌

平安・鎌倉期には、仮名文資料に用例を見出すことはできず、もっぱら記録体などの資料に用いられていた。室町時代になると、狂言など口語資料にも例が見られるようになる。


げ‐ち【下知】

  1. 〘 名詞 〙げじ(下知)

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「下知」の解説

下知
げち

上級者から指令・命令を下達すること。奈良時代から使用され,とくに中世の武家文書で,下知状・下知違背の咎(とがめ)などの法制用語として多用された。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

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