不可逆過程の熱力学(読み)フカギャクカテイノネツリキガク

化学辞典 第2版 「不可逆過程の熱力学」の解説

不可逆過程の熱力学
フカギャクカテイノネツリキガク
irreversible thermodynamics

熱伝導拡散摩擦ジュール熱の発生などはすべて熱力学的に不可逆な現象であって,このような現象を取り扱う熱力学を不可逆過程の熱力学という.古典熱力学の第二法則は,不等式の形で表現されているため定量的な結論を得ることができないが,不可逆過程の熱力学では,この第二法則はエントロピー生成速度の概念が導入されたことによって等式で表現される.また電流運動量エネルギーなどの流れとそれを駆動する一般化された力との間に線形関係が成り立つような不可逆過程では,流れと力を結ぶ輸送係数に関して,オンサガー相反定理という一般法則が成り立つことが見いだされている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「不可逆過程の熱力学」の意味・わかりやすい解説

不可逆過程の熱力学
ふかぎゃくかていのねつりきがく
irreversible thermodynamics

不可逆過程を取扱う熱力学。実際には外からの力について,一次の範囲内での不可逆過程を問題にすることが多い。たとえばエントロピーの増加する速さを考えて,熱力学第二法則を等式で表わしたり,実際に起る不可逆変化条件を変分原理で表わしたりして,いろいろな不可逆現象の間の関係を議論する。オンサーガーの相反定理はその重要な関係式である。

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