城門を分類する場合、その位置や建築の形態によるもののほかに、特殊な使用面からもみることができる。不浄門はこの例で、罪人や死人を城外に送り出す際に使う箇所である。忌門(いみもん)ともいい、糞尿(ふんにょう)の搬出口でもあった。城郭だけでなく藩主の館(やかた)などでも、罪人、死人は城門から出さず、多くは裏門の脇(わき)の目だたぬ場所に簡単な木戸を設けた。
江戸城では、平川(ひらかわ)(河)門を入ると桝形(ますがた)内の北西に、普段は閉じたままの脇門(形態は高麗(こうらい)門)があった。現存するこの門が一名不浄門である。城中松の廊下で刃傷を起こした浅野内匠頭(たくみのかみ)や、山村座の役者生島(いくしま)新五郎との情事が発覚した大奥女中絵島(えじま)が、この門をくぐったという。なお糞尿はこの門外から舟で葛西(かさい)村へ運んだ。
[稲垣史生]
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