日本大百科全書(ニッポニカ) 「世界のおもな水族館」の意味・わかりやすい解説
世界のおもな水族館
せかいのおもなすいぞくかん
名称、飼育動物の種類などは、各水族館のホームページや『International Zoo Yearbook 42』(2008年)ほかによる。動物園内の水族館なども適宜加えた。
【アジア・オセアニア】
〔シンガポール〕
アンダーウォーターワールド Underwater World
〔所在地〕セントーサ島
〔開設年〕1991
〔飼育動物の種類および点数〕約250種2500点
〔特徴〕アジア最大規模の熱帯水族館。おもにアジア近海の生物が展示され、巨大な水槽の中に曲線状に設けられた、全長83メートルの水中トンネルを歩きながら水族の遊泳を観察することができる。ウミガメの保護・繁殖活動にも取り組んでいる。
〔大韓民国〕
63シーワールド Aquarium 63 SeaWorld
〔所在地〕ソウル
〔開設年〕1985
〔飼育動物の種類および点数〕約400種2万点
〔特徴〕地下3階、地上60階の大韓生命ビル(63ビルディング)の地下1階・2階にある韓国最大規模の水族館。市街地の水族館らしく、イルカのショーや魚のサーカス、デンキウナギの発電展示など、展示にくふうを凝らしている。
〔中国〕
オーシャンパーク Ocean Park
〔所在地〕香港(ホンコン)島
〔開設年〕1977
〔飼育動物の種類および点数〕457種6350点
〔特徴〕海洋館(水族館)は海洋公園の中にあり、表層から深海域までの生物を巧みに展示。ほかに波のある大水槽で海獣の生態がみられる海濤(かいとう)館やシャチとイルカのショーがある。
〔オーストラリア〕
シドニー水族館 Sydney Aquarium
〔所在地〕シドニー
〔開館年〕1988
〔飼育動物の種類および点数〕約470種1万1500点
〔特徴〕ダーリングハーバーの東側にある南半球最大規模の水族館。オーストラリア近海に固有の水族を中心に展示。多様な海洋生物、種類豊富なサメ類やマリー・ダーリング川水系の希少淡水魚など、変化に富んだ展示がみられる。
【ヨーロッパ】
〔イギリス〕
シーライフロンドン水族館 Sea Life London Aquarium
〔所在地〕ロンドン
〔開館年〕1997
〔飼育動物の種類および点数〕約350種3万点
〔特徴〕テムズ川沿いの旧市庁舎跡にあるヨーロッパ最大級の水族館。「太平洋」「大西洋」の二つの大水槽を中心に、大小40を超える水槽に世界中のさまざまな水族が展示されている。
プリマス水族館 National Marine Aquarium
〔所在地〕プリマス
〔開館年〕1888
〔飼育動物の種類および点数〕400種4000点
〔特徴〕イギリス海洋生物研究所の実験所として世界的に知られる総合的海洋研究所に付属する水族館。一般の人々への海洋知識の普及を目的とする。
ロンドン動物園水族館 London Zoo Aquarium
〔所在地〕ロンドン
〔開館年〕1924
〔飼育動物の種類および点数〕529種7010点
〔特徴〕動物園内の動物を放養する岩山の階下にあり、淡水、海水、熱帯の各ホールに分かれる。展示は魚類のほか、甲殻類や棘皮(きょくひ)動物まで幅広く、世界各地から収集されている。
〔スペイン〕
バルセロナ水族館 L'Aquàrium de Barcelona
〔所在地〕バルセロナ
〔開館年〕1992
〔飼育動物の種類および点数〕約450種1万1000点
〔特徴〕オリンピックのバルセロナ大会(1992)開催時のウォーターフロント再開発計画により建造された。地中海の魚類、無脊椎動物が、20の大水槽に展示されている。水質汚染についての研究、教育でも知られる。
〔デンマーク〕
デンマーク水族館 Danmarks Akvarium
〔所在地〕コペンハーゲン
〔開館年〕1939
〔飼育動物の種類および点数〕約300種
〔特徴〕コペンハーゲンの真北、市の中心街から電車で約20分のシャーロッテンルントにある。90に及ぶ観覧用の水槽に、300種ほどの魚を飼育・展示している。
〔ドイツ〕
ウィルヘルマ水族館 Aquarium mit Terrarium der Wilhelma
〔所在地〕シュトゥットガルト
〔開館年〕1949
〔飼育動物の種類および点数〕450種
〔特徴〕ウィルヘルマ動植物園内にあり、熱帯魚が多く集められている。ほかに六角形をしたワニ舎などもあり、熱帯植物とともに観覧できる。
エキゾタリウム Exotarium
〔所在地〕フランクフルト
〔開設年〕1957
〔飼育動物の種類および点数〕568種4547点
〔特徴〕市の東部にあるフランクフルト動物園内にあるエキゾタリウムは、小規模ではあるが生態展示がすばらしい水槽室をもつほか、ワニや毒ヘビなどの爬虫(はちゅう)類を展示している。
ケルン動物園水族館 Zoo Köln (Aquarium)
〔所在地〕ケルン
〔開館年〕1971
〔飼育動物の種類および点数〕668種7614点
〔特徴〕ケルン動物園内にあり、水族館のほか、爬虫類・昆虫類館をもつ。94に区分された水槽に、おもにライン川源流から河口に至る範囲に生息する魚のほか、世界各地の魚を網羅している。
ベルリン動物園水族館 Zoologischer Garten und Zoo-aquarium Berlin
〔所在地〕ベルリン
〔開館年〕1913
〔飼育動物の種類および点数〕558種5143点
〔特徴〕ベルリン動物園内にある水族館で、一般的な魚類のほか、メガネヘビ、ガラガラヘビなどの爬虫類、サソリや熱帯性のクモなどの展示がある。
〔ポルトガル〕
バスコ・ダ・ガマ水族館 Aquario Vasco Da Gama
〔所在地〕リスボン
〔開館年〕1898
〔飼育動物の種類および点数〕306種5454点
〔特徴〕大航海者のバスコ・ダ・ガマをたたえて設立された水族館。建築物は創建当時の面影そのままで、創立者カルロス1世が収集した海洋生物の標本などを展示した博物館が併設されている。水族展示はポルトガル周辺の生物が中心であり、魚類の繁殖研究やウミガメの保護活動でも知られる。
〔モナコ〕
モナコ海洋博物館附属水族館 Musée Océanographique de Monaco
〔所在地〕モナコ
〔開館年〕1910
〔飼育動物の種類および点数〕653種7875点
〔特徴〕古い歴史をもつモナコ海洋博物館の地下に併設された水族館。アルベール1世が収集した海洋生物の展示を目的に開設された。館内は約90の水槽に地中海・熱帯の魚類、淡水魚、無脊椎動物など幅広く展示されている。自然の復元力を利用して、完全な生態系を再現したモナコ水槽でも有名。
【北アメリカ】
〔アメリカ合衆国〕
シェッド水族館 John G. Shedd Aquarium
〔所在地〕シカゴ
〔開館年〕1929
〔飼育動物の種類および点数〕1443種7174点
〔特徴〕実業家J・G・シェッド(1850―1926)の寄贈により設立された水族館。3000種以上の標本、淡水および海水の魚類、無脊椎動物、哺乳(ほにゅう)類までさまざまな水族を展示。館の中央には、340トンの大水槽があって、約5000点のカリブ海のサンゴ礁魚が泳いでいる。
シーライフパーク Sea Life Park Hawaii
〔所在地〕ワイマナロ
〔開設年〕1964
〔飼育動物の種類および点数〕122種1290点
〔特徴〕オアフ島、マカプウ岬にある海洋公園。サンゴ礁がある1135トンの海水の大水槽に、2000点以上のサンゴ礁魚類を展示。太平洋鯨博物館もあり、イルカやクジラのショーなどが行われる。
シーワールド Sea World of California
〔所在地〕サン・ディエゴ
〔開設年〕1965
〔飼育動物の種類および点数〕663種1万2097点
〔特徴〕ミッション湾にある巨大海洋公園。南極の環境を人工的につくったコーナーで何百というペンギンの群れがみられるほか、水中劇、イルカやシャチによる各種のショーがある。
スタインハート水族館 Steinhart Aquarium
〔所在地〕サンフランシスコ
〔開館年〕1923
〔飼育動物の種類および点数〕900種3万8000点
〔特徴〕ゴールデン・ゲート公園内にある。ドーナツ構造円筒形の回遊水槽は、輪の中心部から観覧できる。螺旋(らせん)の斜道に沿った海洋展示も興味深い。
テネシー水族館 Tennessee Aquarium
〔所在地〕チャタヌーガ
〔開館年〕1992
〔飼育動物の種類および点数〕617種9455点
〔特徴〕テネシー川河畔にある世界最大級の淡水水族館。テネシー、ミシシッピ川両水系に固有の生物を中心に展示。アパラチア山脈の上流部から河口デルタ(三角州)に至るまでのミシシッピ川のようすがリアルに再現され、多様な淡水生物を自然環境とともに観察することができる。
ニュー・イングランド水族館 New England Aquarium
〔所在地〕ボストン
〔開館年〕1969
〔飼育動物の種類および点数〕545種1万7945点
〔特徴〕大きな円筒形の海水の水槽の中に、約600種以上の魚類と海洋生物を飼育・展示。特設展示ホールでは、年2回の特別展示をしている。専用船によるザトウクジラのホエール・ウォッチングでも知られる。
ニューヨーク水族館 New York Aquarium
〔所在地〕ニューヨーク市
〔開館年〕1896
〔飼育動物の種類および点数〕96種1万1421点
〔特徴〕ニューヨーク湾を臨むコニー・アイランドにある、アメリカでもっとも歴史の古い水族館。世界各地からの水族が集められ、サメの大水槽や海獣ショーが人気を集めている。ニューヨークの野生生物保護協会によって運営され、水族の飼育・研究調査でも指導的存在である。
フロリダ・シーワールド Sea World of Florida
〔所在地〕オーランド
〔開設年〕1973
〔飼育動物の種類および点数〕643種2万2672点
〔特徴〕フロリダ半島の大西洋側にあり、15万平方メートル以上の敷地を有する世界でも最大規模の海洋公園。水族館のほかに、海中ファンタジーや各種のショーなど娯楽施設も整っている。フロリダの野生生物の救助と保護も積極的に行っている。
ボルティモア国立水族館 National Aquarium in Baltimore
〔所在地〕ボルティモア
〔開館年〕1981
〔飼育動物の種類および点数〕676種1万1851点
〔特徴〕アメリカを代表する水族館の一つ。熱帯雨林、太平洋のサンゴ礁、アイスランドの海崖(かいがい)などの環境を人工的につくった水槽などがあるほか、爬虫類、両生類の展示もある。
ミスチック海洋水族館 Mystic Marinelife Aquarium
〔所在地〕ミスチック
〔開館年〕1975
〔飼育動物の種類および点数〕327種1395点
〔特徴〕ニュー・イングランド地方の魚類を中心に、熱帯や太平洋岸から各種の海水・淡水産生物を集めて展示するほか、イルカ、アシカ、アザラシなども飼育・展示している。教育活動にも熱心な水族館である。
モンテレー湾水族館 Monterey Bay Aquarium
〔所在地〕モンテレー
〔開館年〕1984
〔飼育動物の種類および点数〕550種1万5963点
〔特徴〕モンテレー湾は豊富な生物相で有名で、同館では湾内産の生物を主体として展示している。大水槽で、巨大なジャイアントケルプ(海藻(かいそう))を育ててみせているほか、水生生物に触れられる水槽や潮の干満のある水槽など、新しい設備が多い。海洋生物の研究機関でもある。
ワイキキ水族館 Waikiki Aquarium
〔所在地〕ホノルル
〔開館年〕1904
〔飼育動物の種類および点数〕約500種3000点
〔特徴〕ワイキキビーチの南、カピオラニ公園の海岸寄りにある。ハワイ大学付属の水族館で、ハワイ近海に生息する魚類を中心に、サンゴ礁の水槽などハワイならではの展示がみられる。
〔カナダ〕
バンクーバー水族館 Vancouver Aquarium
〔所在地〕バンクーバー
〔開館年〕1956
〔飼育動物の種類および点数〕572種7万点
〔特徴〕広大なスタンレー公園にある。ブリティッシュ・コロンビア地方の淡水・海水産生物、太平洋の熱帯海水魚、アマゾンの熱帯多雨林の水陸の生態系、ラッコやシャチなどの海獣類、の4展示に分かれている。研究や教育活動、海獣の保護にも力を入れている。