日本大百科全書(ニッポニカ) 「ディエゴ」の意味・わかりやすい解説
ディエゴ(Diego de Santa Catalina)
でぃえご
Diego de Santa Catalina
(?―1636)
スペイン人のフランシスコ会宣教師。のち王立聖ヤコボ修道院長。1610年(慶長15)徳川家康(とくがわいえやす)が同会のムニョスをスペイン王に派遣した答礼として、1615年(元和1)国王フェリペ3世の親書を携えて来日した。家康に謁見を願い出たが、すでにキリスト教禁止令が発布され、キリシタンやスペインに悪感情を抱いていた家康は拒絶した。また秀忠(ひでただ)も一行を冷遇し、厳重な監視下に置いたため、ついに翌1616年使命を果たせず帰国した。この冷遇は、後のメキシコ貿易計画失敗の一因となった。
[磯見辰典 2018年2月16日]
ディエゴ(Gerardo Diego)
でぃえご
Gerardo Diego
(1896―1987)
スペインの詩人、文学者、音楽家。サンタンデル生まれ。詩風は初期の大胆な前衛詩から古典的な詩まで幅広い。奔放なイメージを駆使した『泡沫(ほうまつ)の手引書』(1924)、完璧(かんぺき)なフォームでカスティーリャの地の感動を歌った『人間の詩』(1925)、古典美の頂点を極めたソネット集『真実のひばり』(1941)など。戦後も厳粛な『聖なる詩』から、闘牛を歌った軽快な『運もしくは死』、音楽との深いかかわりを示す一連の作品など、伝統と刷新の総合ともいうべき多様な世界をつくりあげている。卓越した技巧と美に対する感受性、気品が渾然(こんぜん)一体となっている。ほかに、時代の証言ともいうべき近代詩の編著『現代スペイン詩抄』(1932、増補版1934)がある。アカデミー会員。1979年セルバンテス賞受賞。
[有本紀明]