年平均気温が20℃以上の低緯度地帯に生育する植物。熱帯多雨林、雨緑林、サバナ(サバンナ)などとよばれる地帯でみられる。熱帯植物の生育する熱帯地方では年間の気温較差は少ないが、季節風の影響によって降水量の地域的較差は大きい。熱帯多雨林は高温多雨地に発達し、生育する植物の多くは常緑高木で、無毛光沢のある葉をつける。フタバガキ科のラワン属、フタバガキ属、マメ科のコームパシア属Koompasiaなどに属する樹木は高さ60メートルにも達し、多層の林冠部を形成している。熱帯多雨林の原生林内にはきわめて多種多様の種類が生育しているが、とくにクワ科、バンレイシ科、ニクズク科、ビワモドキ科、フタバガキ科、オトギリソウ科、マメモドキ科、マメ科、トウダイグサ科、センダン科、ムクロジ科、アオギリ科、フトモモ科、シクンシ科、アカテツ科、カキノキ科、アカネ科、ヤシ科、クズウコン科、ラン科などが優勢である。林内の樹木の多くは淡色の目だたない花をつける。また、なかには幹生花(茎・幹などから直接花芽を出して開花するもの)をつける植物もみられる。つる植物にはマメ科、着生植物にはラン科やウラボシ科などの植物が顕著である。また原生林の伐採跡地や焼畑周辺部の二次林にはクワ属、コショウ属、ノボタン科やアカネ科の多くの属、トウダイグサ科のアカメガシワ属やオオバギ属などの低木がみられる。また、ハカマカズラ属、トケイソウ属、ブドウ科の多くの属などのつる植物が陽生の低木に絡んだり、互いに密生し、ジャングルを形成する。さらに林縁や路傍にはウツボカズラ属、ノボタン属、ハスノハヒルガオ属、シダ植物のコシダ属、オジギソウ、オガサワラスズメノヒエ、チヂミシバなどが広く生育している。
降水量の年間の配分が偏り、乾期と雨期の明らかな地方に発達するのが雨緑林である。雨緑林に生育する樹木は雨期には葉を茂らせ、外観上は熱帯多雨林の樹木とよく似ているが乾期には落葉する。チーク(クマツヅラ科)やユーカリ属は雨緑林の代表的な種である。雨緑林内にはしばしば野火が入るため明るく、イネ科(ウンヌケ属、チガヤ属など)、マメ科(ヌスビトハギ属、タヌキマメ属)の草本植物が多い。
乾期が5か月以上も続く乾生サバナや乾期が8~10か月も続く有棘(ゆうきょく)サバナでは、トウダイグサ科やサボテン科の有棘植物が草原内に散在する。アメリカ大陸には多肉で貯水組織をもつサボテン類が生育し、サボテンサバナを形成している。このほか、南米ブラジルのカーティンガ、オーストラリアのアカシア類に富んだサバナなども有棘サバナに含められる。
[奥田重俊]
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…しかしその当時,この言葉がどの程度普及していたかは,はっきりしない。 これまで日本の園芸関係者の間でごく普通に使われてきた観葉植物とは,おもに葉や幹・茎の形や色彩・模様が変化にとんだ熱帯植物で,その樹姿・葉姿の美しい鉢植えの観賞植物のことを指していた。このため観葉植物とは熱帯植物であり,冬の寒さに弱い植物というのが常識となってきた。…
※「熱帯植物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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