ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「中欧イニシアティブ」の意味・わかりやすい解説
中欧イニシアティブ
ちゅうおうイニシアティブ
Central European Initiative; CEI
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略称CEI。1970年代からアルプス・アドリア海沿岸地域やドナウ川沿岸地域での国境を越えた地方自治体間の協力が試みられていたが、ヨーロッパでの東西冷戦構造が急速に崩壊しつつあった1989年11月に、イタリア、オーストリア、ハンガリー、ユーゴスラビア外相会談でこの地域における国家レベルの協力を含む広範な経済協力の促進が合意されることになった。その後、1990年にチェコスロバキアが参加し、5か国協力を意味するペンタゴナーレとよばれるようになった。1991年にポーランドの参加で6か国となり、名称もヘキサゴナーレとなった。発足当初は、EU(ヨーロッパ連合)およびNATO(ナトー)(北大西洋条約機構)加盟国であるイタリア、中立国であるオーストリア、それに旧社会主義国からなる冷戦後の新しい地域協力体制として注目された。ユーゴスラビア紛争の発生では協力関係の進展はかならずしも順調ではなかったが、その後、スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニア(現、北マケドニア共和国)が加わり、名称も現在の中欧イニシアティブとなった。政府間協力のみならず地方自治体間の協力も重視する点に特徴があり、経済インフラの整備、環境問題、少数民族問題など、さまざまなレベルでの相互交流をとおして幅広い協力が目標とされている。2019年時点の参加国はアルバニア、ベラルーシ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、クロアチア、チェコ、ハンガリー、イタリア、モルドバ、モンテネグロ、北マケドニア、ポーランド、ルーマニア、セルビア、スロバキア、スロベニア、ウクライナの17か国。
[林 忠行]
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