自ら犯罪を実行すること。これに対し、共犯(狭義)は、他人が犯罪を実行するにあたり、これに加担することをいう(教唆犯、従犯がこれにあたる)。正犯と共犯とを区別する基準につき、従来、いくつかの見解がある。主観説によれば、両者は、正犯者の意思か共犯者(加担者)の意思かにより区別されるが、客観説によれば、犯罪実現に「原因」を与えるか、単に「条件」を与えたにすぎないか、によって区別された。その後、正犯の概念につき、制限的正犯論と拡張的正犯論とが現れた。前説によれば、正犯とは、自ら直接的に犯罪を実現した場合であるとされるのに対し、後説では、犯罪の実現になんらかの形で参画すれば、すべて正犯である、と解された。しかし、制限的正犯論では、間接正犯の正犯性が根拠づけられないとの批判があり、拡張的正犯論も、犯罪実現にとって客観的に果たした役割の違いが無視されている、との批判が強い。そこで、今日では、正犯の概念や正犯と共犯の区別につき、さまざまな見解がみられるが、いまなお定説は存在しないといってよい。
なお正犯にも、正犯者の数の面から、単独正犯と共同正犯とがあり、また、犯罪の実現が直接か間接かにより、直接正犯と間接正犯とが区別されている。
[名和鐵郎]
『西原春夫著『犯罪実行行為論』(1998・成文堂)』▽『橋本正博著『「行為支配論」と正犯理論』(2000・有斐閣)』▽『島田聡一郎著『正犯・共犯論の基礎理論』(2002・東京大学出版会)』
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