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教唆犯 きょうさはんAnstiftung

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

教唆犯
きょうさはん
Anstiftung

犯罪を実行する決意を有しない他人をそそのかして犯罪を実行させる罪 (刑法 61) 。共同正犯や従犯 (幇助犯) とともに共犯の一種で,みずから実行行為を分担しない点で共同正犯と,また実行正犯者に犯意を誘発する点で従犯と,それぞれ区別される。教唆犯は,実行正犯者に準じて処罰される (61条1項) 。すなわち正犯者に適用されるべき法定刑によって処罰される。しかし,拘留,科料のみに処すべき罪の教唆犯は特別の規定がなければ処罰されない (64条) 。

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デジタル大辞泉の解説

きょうさ‐はん〔ケウサ‐〕【教唆犯】

他人を教唆して犯罪を実行させること。また、その者。共犯の一種で、正犯に準じて罰せられる。

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世界大百科事典 第2版の解説

きょうさはん【教唆犯】

人を教唆して犯罪を実行させること(刑法61条)。教唆とは,人に犯罪を実行する決意を生ぜしめることをいう。したがって,過失犯の教唆,過失による教唆を否定するのが通説・判例である。国家公務員法(98条2項,110条17号),地方公務員法(37条1項,61条4号)にいう争議行為の〈そそのかし〉は同義であるが,同法にいう〈あおり〉,破壊活動防止法(38条1項)にいう〈せん動〉などは,教唆より広く精神的幇助(ほうじよ)を含むと解されている。

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大辞林 第三版の解説

きょうさはん【教唆犯】

人を教唆して犯罪実行の決意を生じさせること。また、その者。共犯の一形式で、正犯に準じて処罰される。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

教唆犯
きょうさはん

共犯、とくに狭義の共犯の一形態。人を教唆して犯罪を実行させる場合に成立する(刑法61条1項)。教唆犯には「正犯の刑を科する」。すなわち、教唆犯は正犯と同じ法定刑の範囲内で処罰される(ただ、実際の刑の量定において、教唆者が正犯者より重い刑を宣告されることもありうる)。教唆犯が成立するためには、人を教唆する行為、およびこれにより被教唆者が犯罪を実行したことが必要である。
 人を教唆するとは、他人に特定の犯罪を実行する決意を生じさせることである。教唆の方法としては、職務上の命令、脅迫、金銭の提供などさまざまであるが、特定の犯罪を実行する決意(犯意)を生じさせるに適したものでなければならない。したがって、ただ漠然と「人を殺せ」とか「金を盗(と)ってこい」というだけでは足りないが、逆に、犯行の日時、場所、方法など細部にわたり具体的に特定する必要はない。すでに犯行を決意している者への教唆はありえず、相手の犯行を容易にした場合に限り従犯(刑法62条)として処罰されるにすぎない。なお、「おとり捜査」に関連して、「未遂の教唆」すなわち、あらかじめ未遂に終わらせるつもりで教唆する場合につき、教唆犯の成否が争われているが、これを肯定するのが通説・判例である。
 次に、教唆犯が成立するためには、被教唆者が教唆行為に基づき現に犯罪を決意し、実行に移すことを要する。したがって被教唆者が犯意を生じなかったり、現に犯意を実行に移さなかった場合には、「教唆の未遂」とよばれ、教唆犯は認められない(少数ながら肯定説もある)。
 なお、「教唆者を教唆した」場合を間接教唆とよび、通常の教唆犯と同様、正犯の刑を科する(刑法61条2項)。ただし、間接教唆者をさらに教唆する再間接教唆の場合には、判例および一部の学説はこれを間接教唆と解するが、むしろこれを否定し、不可罰と解すべきであろう。[名和鐵郎]

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世界大百科事典内の教唆犯の言及

【共犯】より

…一つは,犯罪に関与した者すべてを正犯として処罰する(イタリア刑法等)という方法であり,他は,処罰を犯罪への特定の関与形態に限定し,しかも関与のしかたに応じて処罰に軽重を設ける(ドイツ刑法等)という方法である。日本の刑法は後者に属し,共同正犯(60条),教唆犯(61条),従犯(幇助(ほうじよ)犯ともいう。62条)の規定をもつ。…

※「教唆犯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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