事務機械(読み)じむきかい

百科事典マイペディア 「事務機械」の意味・わかりやすい解説

事務機械【じむきかい】

一般的にはオフィスで日常行われる事務作業をより能率的かつ効果的に行うために利用される機器をいう。謄写版タイプライター卓上計算機タイムレコーダーなどが主であったが,コンピューター発達とともにオフィスへのコンピューター導入が一般化,いわゆるオフィス・オートメーションOA)化が進んだ。OAは1950年代末に米国で産業界のファクトリーオートメーションFA)に対し,コンピューターの事務処理への適用から出た言葉である。1950年代から1970年代にかけてはコンピューターによる定形化されたデータ処理が中心で,オフィス全体にわたるものではなかった。1980年代のOAはエレクトロニクスの著しい発達と組織環境システムの見直しが進み,単にオフィスにおける事務機械化にとどまらず,企業組織全体の管理システムの効率化と機動化を進めることが目的となった。 OA機器は会計機から発達したオフコンとよばれるオフィス用の事務処理専用のコンピューター(オフィス・コンピューター)が主で,中枢的な情報処理機能をもち,ワークステーションとよばれる端末機自体も簡単な情報処理能力をもつようになった。パーソナルコンピューターは文字通り小企業家庭で個人が使えるコンピューターで,専用の各種オペレーティングシステム,すなわち事務処理やワードプロセッシング用のソフトウェアの発達で急速に普及した。周辺機器としてはワードプロセッサーファクシミリ複写機が代表的な事務機械であるが,レーザー技術の導入で高速化が著しい。
→関連項目コンピューター

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「事務機械」の意味・わかりやすい解説

事務機械
じむきかい

企業、官庁などで、事務処理を効率的に行うために用いる機械類の総称。事務機器は、『工業統計表』の分類では、一般機械器具に含まれていて、その内訳は計算機械(電子式卓上計算機など)、静電間接式複写機、デジタル式複写機、フルカラー複写機、金銭登録機レジスター)、ワードプロセッサー、その他(タイプライター、タイムレコーダー、オフセット印刷機、シュレッダーなど)となっている。オフィスオートメーション(OA)に不可欠な、オフィスコンピュータパーソナルコンピュータ、ファクシミリは、『工業統計表』においては情報通信機械器具に分類されている。ビジネス機械・情報システム産業協会の調査による事務機器の出荷額は、国内・海外生産あわせて総計約1兆9930億円(2007年)、もっとも出荷額の多い機器は複写機(複合機を含む)で、1兆590億円となっている。

[編集部]

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改訂新版 世界大百科事典 「事務機械」の意味・わかりやすい解説

事務機械 (じむきかい)

一般的にはオフィスなどで日常行われる事務作業を,より能率的かつ効果的に行うために利用される機器をいう。一般に,工場,流通などの効率化,自動化に比べ,事務作業の効率はあまり向上していないとされており,近年オフィス・オートメーション(OA)が主張され,事務機械の導入が活発化している。

 日本における事務機械の歴史は,1894年に発明された謄写版にはじまる。1915年には和文タイプライター,23年に手動計算器(手回し)が開発されている。当時はこのほかにも金銭登録機,英文タイプライター,電動計算機なども一部輸入されていた。しかしそれは特殊の官庁,金融機関,大企業,百貨店など一部で使われていたにすぎない。具体的にはパンチカードシステム(PCS)が鉄道省,横浜税関,内閣統計局などに,ナンバリングが郵便局に,かなタイプが逓信省に,タイムレコーダーが専売局,電動計算機が金融機関に,タイプライターが貿易商社,手動計算器が建設関係に,金銭登録機が百貨店などに導入されたにすぎない。しかも37年ごろから日本は戦時色一色になり,ほとんどの事務機械の開発は中止されてしまった。したがって日本の事務機械の歴史は45年の終戦から新しい歩みをはじめたと見てもよい。当時,官庁,銀行,大企業などは先を争ってアメリカ式経営の機械化,合理化に見習った。その結果,55年ごろにはアメリカ軍払下げのタイプライター,中古計算機などが貴重な存在であった。このころ日本でジアゾ複写機が国産品として注目されはじめた。と同時に加算機,金銭登録機,タイプライター,印刷機など,機械的な事務機械が続々と開発されてきた。

 事務機械の様相を一変させたのが65年ごろからのエレクトロニクス技術の導入である。電卓,電子レジスター,複写機などIC,LSIの導入で,これまでの事務機械のメカ的イメージを一掃,続々と簡単に使用できる新製品が開発されてきた。また近年では,オフィス・コンピューター,パーソナル・コンピューター,ワードプロセッサー,ファクシミリ,高速複写機などなどの普及が著しい。
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