オフィスコンピュータ(読み)おふぃすこんぴゅーた(その他表記)office computer

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オフィスコンピュータ」の意味・わかりやすい解説

オフィスコンピュータ
おふぃすこんぴゅーた
office computer

中・小規模の企業または支店などを対象として事務処理用に設計された小型コンピュータ。略してオフコンともいわれる。もともとコンピュータとは、入力・出力・記憶・演算・制御の機能をもった電子的装置によって、あらかじめ用意されたプログラムに従って自動的に情報の処理を行うもので、マイクロコンピュータから超大型コンピュータに至るまで、本質的な差別はないといえる。したがって適用業務の範囲は、その規模と機器構成の相違によって異なるものと考えてよい。

 オフィスコンピュータのおもな特徴をあげると、小型であって、通常はデスクの上にブラウン管の表示装置とキーボードを備え、ほかにデータ入力用のキーボードと帳票印刷用のプリンターをもつ。中央処理装置とデータ蓄積用のディスク記憶装置、ファイルの役割をするフロッピーディスク駆動装置などは、デスクの形にコンパクトにまとめられている。拡張されたシステムは、ディスプレー装置とキーボードを備えたいわゆるワークステーション端末を数台備えたり、データ通信機能によって大型コンピュータや他のオフィスコンピュータと接続ができる。寸法は小型でも、フル装備すれば、容量はかつての中型コンピュータ程度に匹敵するものをもつ。

 なお、必要に応じて中央の大型コンピュータと接続し、ローカルなレベルの業務は単独に処理するように設計された小型コンピュータを、分散処理用コンピュータとよぶことがある。

 オフィスコンピュータの特色は、入出力装置にある。入力はタイプライター式の一般的なもののほかに、入力項目ごとにボタンをもったキーマットや、類似の簡易入力装置を豊富にそろえており、適用業務に応じたキー表示を印刷したブックシートをキーボードにかぶせて使用する。出力装置としてのプリンターは、紙送り、フォーマット制御機能が充実しており、一般のコンピュータのプリンターのような連続紙を送るだけでなく、単票装置によって伝票用紙を1枚ごとに給紙することができる。

 オフィスコンピュータの運用は、一般のコンピュータのようにアセンブリ言語やコンパイラ言語で処理プログラムを開発するよりも、対話形式で直接データを処理する方式が進められ、単一機能のプログラムパッケージ、単能的な簡易言語などのバラエティーによって、ユーザーが使いやすいシステムになっている。また、日常業務に継続的に使用することを目的として設計されているため、機器類の耐久性、ファイルなどの安定性に優れていなくてはならない。

[小野勝章]

 事務処理専用機のイメージが強いオフィスコンピュータだが、近年、パソコンの高機能化やパッケージソフトの充実、ネットワーク環境の整備などにより、しだいに姿を消している。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オフィスコンピュータ」の意味・わかりやすい解説

オフィスコンピュータ

設置および使用が容易な小型の事務用コンピュータ。会計機に起源をもつ。略称でオフコン,近年はオフィスプロセッサとも呼ぶ。オフィスコンピュータ office computerは和製英語であって,アメリカ合衆国などでは small business computer; SBCと呼ばれている。商店を含む中小企業における伝票発行,経理業務などの用途向けに発展,大企業における部門コンピュータとしても使用されてきたが,一般的な業務に対しては,ウィンドウズなどパーソナル・コンピュータのハードウェア,ソフトウェアの高機能化で LANでネットワーク化されたパーソナル・コンピュータに置き換わりつつある。

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