二十年目睹之怪現状(読み)にじゅうねんもくとのかいげんじょう(その他表記)Èr shí nián mù dǔ zhī guài xiàn zhuàng

改訂新版 世界大百科事典 「二十年目睹之怪現状」の意味・わかりやすい解説

二十年目睹之怪現状 (にじゅうねんもくとのかいげんじょう)
Èr shí nián mù dǔ zhī guài xiàn zhuàng

中国,清末の白話長編小説呉沃尭(ごよくぎよう)が《新小説》誌に連載ののち1906-10年(光緒32-宣統2)に単行。全108回。作者分身と思われる主人公〈九死一生〉が,各地商用旅行した20年間に目睹した社会各層の内幕を,一人称体で書いたものである。誇張された筆致が,冷徹な描写を妨げているが,清末社会を生き生きととらえた清末小説の傑作の一つとされている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「二十年目睹之怪現状」の意味・わかりやすい解説

二十年目睹之怪現状
にじゅうねんもくとのかいげんじょう
Er-shi-nian mu-du zhi guai-xian-zhuang

中国,清末の口語章回小説呉沃堯 (ごよくぎょう) の作。 108回。光緒 28 (1902) 年『新小説』に連載され,のち同 33年から宣統1 (09) 年にかけて単行本となった。「九死一生」と名のる男が,20年にわたって全国を旅行した間に見聞したさまざまな社会の「奇怪な現状」を一人称で語ったもの。腐敗した清末の官吏商人,文人たちの生態が,短い挿話の積重ねのうちに次から次へと描き出され,その虎狼のような連中から危うく逃れたというのが主人公の名のいわれである。やや類型的で生硬な点が多いが,清末に流行した「譴責 (けんせき) 小説」の代表的作品の一つとされる。

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