出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…この十事を認める進歩派は,多人数であったので大衆部と呼ばれ,この除外例を認めない厳格派は少人数で長老上座が多かったので上座部と名づけられたという。一方,北伝の《異部宗輪論》によると,その原因は五事問題であったという。五事とは,修行者の達する究極の境地である〈阿羅漢(アルハットarhat)〉の内容を低くみなす五つの見解のことである。…
…彼は大衆部に近い思想をもっていたので,彼の弟子たちは大衆部の一支派である制多山(せいたせん)部を形成したという。また別に,大天自身が仏滅200年ごろに五ヵ条の新説(五事)を唱えて制多山部を分立させたとする文献もある。この大天の五事は阿羅漢の悟りを低くみるもので,阿羅漢にも誘惑,無知,疑いがあるなどとする立場であるが,大天個人の説というより,大衆部系に一般的な思想傾向とみるべきである。…
※「五事」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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