仏陀(ぶっだ)(釈迦(しゃか))の滅後の2500年間を5種の500年に区分して、仏教の盛衰を表そうとする一種の歴史観。「五五百年」「五箇五百歳(ごかのごひゃくさい)」ともいう。正法(しょうぼう)、像法(ぞうほう)、末法(まっぽう)の三時説とともに、中国、日本における末法思想の形成、展開に大きな影響を与えた。もと『大方等大集経(だいほうどうだいじっきょう)』巻55「月蔵分」(6世紀、北斉(ほくせい)の那連提耶舎(なれんだいやしゃ)訳)に現れる説で、第一の500年は悟りを開く者が多い期間(解脱堅固(げだつけんご))、第二の500年は瞑想(めいそう)を行う者が多い期間(禅定(ぜんじょう)堅固)、第三の500年は仏の教えを熱心に聞き学ぶ者が多い期間(多聞(たもん)堅固)、第四の500年は仏塔や寺院を建立する者が多い期間(造寺(ぞうじ)堅固)、第五の500年は互いに自説に固執して争う者が多く、正しい教えが損なわれてしまう期間(闘諍(とうじょう)堅固)であるという。これらは正、像、末の三時説と結び付けられたが、三時説の時限には諸説があるので、それとの組合せは一定していない。
[藤田宏達]
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