人口に膾炙す(読み)じんこうにかいしゃす

精選版 日本国語大辞典 「人口に膾炙す」の意味・読み・例文・類語

じんこう【人口】 に 膾炙(かいしゃ)

  1. ( 膾(なます)と炙(あぶりもの)はだれの口にもうまく感ぜられ、もてはやされるというところから ) 広く人々の口にのぼってもてはやされる。広く世間の人々の話題となる。
    1. [初出の実例]「この哥都鄙に伝へて、人口(ジンコウ)膾炙(クヮイシャ)せしかば」(出典読本椿説弓張月(1807‐11)後)
    2. [その他の文献]〔林嵩‐周朴詩集序〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

故事成語を知る辞典 「人口に膾炙す」の解説

人口に膾炙す

詩や文章などが、多くの人々に愛唱されることのたとえ。転じて、世間の人々がよく知っていることのたとえ。

[使用例] これらは、余り人口に膾炙しすぎて居りますから、ここにはわざと申上げません[芥川龍之介*二つの手紙|1917]

[由来] 九~一〇世紀、唐王朝末期の中国の詩人せいの詩の一節から。先輩の偉大な詩人、はくの作品が人々に愛唱されているようすを、「黄金宝石が触れ合っているような美しい響きの一〇〇〇余りの詩が、『なますを吞みあぶりにくむがごとく人口に伝う(切り身や焼き肉をおいしく味わうのと同じように、人々がずっと口にしてきている)』」と、うたっています。

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