人手不足倒産(読み)ひとでぶそくとうさん

知恵蔵 「人手不足倒産」の解説

人手不足倒産

従業員の離職や採用難などによって生じた人材不足が原因となった企業の倒産少子高齢化による生産年齢人口の減少で、中小企業を中心に人手不足が深刻化していることなどが背景にある。企業が人材確保のために賃上げなどの待遇改善に踏み切っても、人材が集まらずに倒産してしまうケースや、人手不足がサービスの低下や事業計画の遅れを招き、業績が悪化して倒産するケースなどがある。
信用調査会社の帝国データバンクが2017年10月に発表した、17年度上半期(4~9月)の全国企業倒産集計によると、人手不足倒産は54件で、前年同期比68.8%増と急増した。同社が17年11月に発表した「人手不足に対する企業の動向調査(2017年10月)」の結果では、正社員が不足していると回答した企業は49.1%に達し、06年5月の調査開始以降、過去最高となった。業種別では「情報サービス」が70.9%と7割を超えてトップとなり、「メンテナンス・警備・検査」(64.3%)、「運輸倉庫」(63.7%)、「建設」(63.5%)と続いた。非正社員が不足していると回答した企業も31.9%と過去最高を更新し、飲食店や飲食料品小売、人材派遣・紹介などの業種が上位を占めている。
政府は人手不足対策として、外国人労働者の受け入れ拡大などを打ち出している。しかし、将来的には人口減少による内需縮小も予想されるため、企業の中には「どのぐらいの人材を確保するかの判断が難しい」という意見もある。また、人手不足に対応しようと、大企業を中心にAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)の導入を進める動きがある。

(南 文枝 ライター/2017年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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