精選版 日本国語大辞典「人称代名詞」の解説
にんしょう‐だいめいし【人称代名詞】
〘名〙 代名詞の一つ。事物・場所・方角についてさし示す「指示(事物)代名詞」に対して、人物についてさし示す代名詞をいう。話し手(または書き手)自身をさす自称(一人称、「わたくし」「ぼく」「おれ」など)、相手をさす対称(二人称、「あなた」「きみ」「おまえ」など)、話し手や相手以外の第三者をさす他称(三人称、「このかた」「そのかた」「あいつ」「かれ」など)、不特定または未定の人物をさす不定称(「どなた」「どいつ」など)に分けられる。「おのれ」「われ」「てまえ」など、自対他三称にわたってさし示し得るものを反射称(反照代名詞)ということがある。母親が幼児に向かっていう「ボク」などは、自称の対称への転用である。また、日本語では、人称代名詞としてあげられる語が西欧語に比べて数多く、しかも、身分関係や資格を表わす普通名詞(「お父さん」「先生」「社長さん」など)が自称、対称として代名詞的に用いられ、普通名詞と代名詞との間の区別が必ずしも明確でない。なお、日本語では、他称が遠中近三称に分かれて、指示代名詞の場合に平行する。人(にん)代名詞。〔日本口語文典(1906)〕
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