共同通信ニュース用語解説 「介護離職」の解説
介護離職
総務省の調査では、家族の介護や看護を理由に仕事を辞めた人は年間約10万人に上るとみられる。仕事との両立が難しいことが背景。離職すれば経済的に不安定な生活を余儀なくされるが、親の介護が必要な世代は主に中高年で、再就職のハードルは高い。政府は「介護離職ゼロ」を目指しているが、実現にはほど遠く、無理なく働き続けられる環境整備が急務となっている。
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総務省の調査では、家族の介護や看護を理由に仕事を辞めた人は年間約10万人に上るとみられる。仕事との両立が難しいことが背景。離職すれば経済的に不安定な生活を余儀なくされるが、親の介護が必要な世代は主に中高年で、再就職のハードルは高い。政府は「介護離職ゼロ」を目指しているが、実現にはほど遠く、無理なく働き続けられる環境整備が急務となっている。
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就業者が家族の介護や看護のために退職、転職すること。親や配偶者を在宅介護するため、退職や転職を迫られる中高年が増える傾向にある。厚生労働省の雇用動向調査によれば、2011年(平成23)に介護を理由に離職した人は、全離職者約641万人の0.9%で、約5万6500人であった。2001年の同調査では、全離職者701万人の0.7%、約5万人で、ほぼ10年間で介護を理由に離職する人の割合も数も増えていることがわかる。同調査の離職理由区分が「介護」から「介護・看護」に変わった2013年以降では全離職者の1.3%前後で推移しており、2021年(令和3)では全離職者717万人の1.3%、9万5200人だった。男女別の全離職者数に占める介護・看護離職者の割合は、2013年、2021年ともに男性が0.3%、女性が1.0%で、女性が圧倒的に多い状況に変わりはない。また、就業形態別でみると、2013年の一般労働者の介護・看護離職者は1.2%、パートタイム労働者は1.5%で、2021年は一般労働者が0.9%、パートタイム労働者が1.9%と、パートタイム労働者が多くを占める。
2010年6月に施行された改正育児・介護休業法では、従前からある通算93日間の介護休業制度に加え、要介護状態の対象家族1人につき、年間に5日間の短期の休暇制度が創設された。しかし、厚生労働省の雇用均等基本調査によれば、2021年4月から2022年3月までの1年間で、介護休暇を取得した人がいた事業所は全体の2.7%。このうちの男女ともに取得した事業所は0.5%(取得した従業員のいた事業所の17.7%)、女性のみ取得した事業所は1.3%(同47.2%)、男性のみの事業所は0.9%(同35.1%)となっている。これらの状況は、身近な人に介護が必要になった場合、その多くは離職を選択せざるを得ない現実を示している。
[編集部 2024年2月16日]
(2014-4-10)
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