改訂新版 世界大百科事典 「付加環化」の意味・わかりやすい解説
付加環化 (ふかかんか)
cycloaddition
不飽和結合に対する一種の付加反応であるが,生成物が環式化合物となる場合をいう。たとえば,エチレンは光をあてると式(1)のように2分子が反応してシクロブタンを与える。
このような反応は多数知られており,環式化合物を合成する重要な反応である。また,この付加環化はジエンとアルケン,ケトンなどの不飽和化合物との間でも起こり,加熱条件下で6員環生成物を与える(式(2))。
このような反応のうちC=C結合が関与する場合には発見者の名前にちなんで,ディールス=アルダー反応(またはジエン合成)と呼ばれている。
式(3)に示すように,複素原子(O,N,Sなど)が関与する付加環化反応は,1,3-双極付加環化と呼ばれ,複素環合成に有用である。
→ウッドワード=ホフマン則
執筆者:友田 修司
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