知恵蔵 「代々木ゼミナール」の解説
代々木ゼミナール
代々木ゼミナールは、1957年設立の学校法人高宮学園が運営する大学受験予備校で、各種の講座や大学入試センター試験自己採点結果の分析などを行ってきた。傘下には、模擬試験を行う企業や小中学生などを対象とする学習塾SAPIXなどを置く。売上高は非公開ながら駿台予備学校、河合塾と並ぶ3大予備校の一つとして校舎を全国各地に展開し、浪人生(高校卒業生)を中心に多数の大学受験生を集めた。
創業者の高宮行男理事長(故人)は、太平洋戦争後、遊興娯楽事業を営む実業家の姻族として予備校経営に参画。高度経済成長期に始まる「受験戦争」により業容を拡大した。共通一次試験(後のセンター試験)などにより、80年代には予備校の寡占化が進展した。多額の報酬で有名講師を多数登用したり、授業を衛星中継するサテラインをいち早く導入したりといった手法で、全国各地の駅前の一等地などに校舎を展開した。
近年は少子化による受験生の減少や大学入学定員の拡大、受験生の現役志向の高まりなどから業績が低迷、フランチャイズによるビデオ授業を展開する後発の東進ハイスクールにも追い上げられるなどして経営環境が悪化していた。
2014年8月に、翌年度からは本部校(渋谷区代々木)、札幌校、新潟校、名古屋校、大阪南校、福岡校、及び造形学校(渋谷区原宿)の7拠点体制とし、その他の校舎は廃止すると発表した。今後は、現役高校生やサテライン事業に傾注するという。また校舎跡地は、これまでにもホテルや商業施設に転換が進められており、今回の大規模閉鎖も用途転換や用地活用による不動産業への転身を目指すものといわれる。
(金谷俊秀 ライター / 2014年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報