仲泊遺跡(読み)なかどまりいせき

日本歴史地名大系 「仲泊遺跡」の解説

仲泊遺跡
なかどまりいせき

[現在地名]恩納村仲泊 比屋根原

仲泊なかどまり山田やまだの境界近くの海岸線に突き出した琉球石灰岩丘陵一帯に形成された貝塚時代前期・中期後期および近世複合遺跡。国指定史跡。国道五八号沿いにある。一九七四年(昭和四九年)に緊急発掘調査が実施されて以来、七七年まで発掘調査が行われた。遺跡は五つの貝塚と一つの洞穴遺跡、および近世の比屋根坂ひやごんびら石畳道で構成される。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「仲泊遺跡」の解説

なかどまりいせき【仲泊遺跡】


沖縄県国頭(くにがみ)郡恩納(おんな)村仲泊にある集落跡。沖縄貝塚時代の洞や貝塚と近世の比屋根坂(ひやんごんざか)石畳道からなる遺跡で、沖縄本島西海岸に接する標高20~30mの琉球石灰岩丘陵の東側崖下に所在する。沖縄先史時代の立地環境をよく示し、宿道(しゅくみち)の石畳道も近世の重要な交通遺跡であることから、1975年(昭和50)に国の史跡に指定された。遺跡は、沖縄貝塚時代前期(縄文時代後期に相当)のものを中心として崖下斜面の岩陰に点在し、岩陰住居跡も発見された。住居跡は、崖面から突出した巨岩下の間口約8m、奥行き約4m、入り口の高さ約2mの岩陰部分に営まれ、石組みの炉跡が確認され、出土した土器は「仲泊式」と名付けられている。さらに、丘陵上を横断するかたちで、幅約3mの石灰岩を敷設した道路跡が検出された。首里王府時代の本島西海岸沿いの主要道路の一部で、明治末の国道開設にともなって廃道となったが、現存する数少ない首里王府時代の道路遺構といわれている。那覇から東陽バス「ルネッサンスホテル前」下車、徒歩約3分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「仲泊遺跡」の意味・わかりやすい解説

仲泊遺跡
なかどまりいせき

沖縄県恩納(おんな)村字仲泊にある遺跡。1973年(昭和48)海洋博覧会開催を控えて急ピッチで進められていた国道拡張工事の際に発見され、その保存をめぐって世論が沸騰し、保存が決定された。第1~5貝塚および第一洞遺跡よりなり、とくに第3貝塚は貝塚時代中期から後期に至る遺物包含層を含む県下初の岩陰(いわかげ)住居跡として注目された。第3貝塚に接して石畳道遺構があり、比屋根(ひやね)坂(方音ヒャーグンビラ)の名でよばれ、琉球(りゅうきゅう)王国時代の街道の一部として知られるようになった。国指定史跡。

[高良倉吉]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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