本来は特定の給付を目的としているが、他の給付でこれにかえることのできる債権をいう。この場合に、本来の給付にかえて他の給付をなすことができる債務者の権利を代用権という。たとえば、自動車一台を給付すべきだが、200万円を給付してもよいというような債権である。この債権は選択債権に類似しているが、一個の給付が本来の目的であり、他の給付は補充的であるにすぎない点で異なっている。したがって、本来の給付が原始的不能の場合には債権は成立せず、また、債務者の責によらない事由による後発的不能のときは、たとえ代用給付(前例でいう200万円の給付)が可能であっても、債権は消滅することとなる。なお、債権者は代用給付を請求する権利を有しない。
[竹内俊雄]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報