予約(読み)よやく

日本大百科全書(ニッポニカ)「予約」の解説

予約
よやく

日常用語としては、予約購読、ホテルの予約、建築中の住宅の購入予約などと多義的に用いられるが、法律用語としての予約は、将来契約を締結することを約する契約をいう(本来の予約という)。当事者は本契約を締結する債務を負うが、相手方が本契約の締結に応じないときは、訴えを提起して勝訴判決を得なければならない。しかしこれは実用的でないので、民法売買の予約につき「売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を表示した時から、売買の効力を生ずる」と規定した(556条1項―売買の一方の予約)。売買の一方の予約は当事者の一方に予約完結権があり、予約完結の意思表示をすると、相手方の承諾を待たずに本契約たる売買契約が成立する。双方に予約完結権がある場合には、売買双方の予約という。

 ある不動産について売買の予約がなされても、売買の本契約は成立していないので所有権の移転登記はできないが、予約完結権を仮登記して権利を保全しておくことができる。また予約完結権は譲渡することができる。譲渡は債権譲渡の方法(民法467条)によるが、仮登記された予約完結権の譲渡は仮登記移転の付記登記をすれば足りる。仮登記された予約完結権は、債権担保の機能をもち、仮登記を用いた債権担保については、1978年(昭和53)に成立した「仮登記担保契約に関する法律」が適用される。

[伊藤高義]

『内田貴著『民法Ⅱ 第2版 債権各論』(2007・東京大学出版会)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「予約」の解説

予約
よやく
Vorvertrag

将来一つの契約 (本契約) を締結すべきことを約束する契約。当事者の一方が,将来希望したときに相手方に本契約を申込んだ場合,相手方は本契約を締結すべき債務を負う。この債務を当事者の双方が負担する予約を双務予約と呼び,一方の当事者のみがこの債務を負担するのは片務予約という。また当事者の一方が予約を本契約にする意思表示 (予約完結の意思表示) をした場合には,相手方の承諾の有無を問わず,本契約が成立する予約もある。予約完結権を当事者双方が有する場合を双方の予約と呼び,一方しか有しない場合を一方の予約という。民法は売買について「一方の予約」の規定を置いている (556条1項) 。予約の内容は本契約の内容を決定する。

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精選版 日本国語大辞典「予約」の解説

よ‐やく【予約】

〘名〙
① あらかじめ約束すること。また、その約束。
※帰省(1890)〈宮崎湖処子〉一「我は六年の間三度帰省の予約ばかりして一度(ひとたび)も帰省せざりし」
② 法律上、将来、一定の契約を結ぶためにあらかじめ約束しておく契約をいう。売買の予約など。
※民法(明治二九年)(1896)五五六条「売買の一方の予約は」

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世界大百科事典 第2版「予約」の解説

よやく【予約】

他人が製作中の物を,完成したら買いたいとか,買いたい土地があるが,今は金がないので1年以内に金を用意して必ず買えるようにしたいという場合には,他日売買契約をすべきの約束がなされる。このように,将来一定の契約(本契約――このでは売買契約)を締結すべきことをあらかじめ約する契約を,予約という。予約のねらいは,将来締結したいと望む本契約のため,事前に相手方を拘束しておくことにある。予約には,予約上の権利者が本契約を成立させようとする場合に,(1)相手方が承諾の義務を負うものと,承諾なしにただちに本契約が成立するもの(すなわち,予約完結権を認めるもの)との2種がある。

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