デジタル大辞泉
「企」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
くわ‐だ・てる くは‥【企】
〘他タ下一〙 くはだ・つ 〘他タ下二〙 (古くは「くわたつ」。足をつまだてる意の「くわたつ」から転じた語)
① もくろむ。思い立つ。計画する。
※
源氏(1001‐14頃)東屋「かしこく思ひくはたてられけれど、もはら本意
(ほい)なしとて」
※
小説神髄(1885‐86)〈
坪内逍遙〉緒言「小説の改良進歩を今より次第に企図
(クワダ)てつつ」
※
今昔(1120頃か)一「様々に武き心を励まして互に
合戦を企
(くはた)つ」
[語誌](1)「くは」は「くは
びら(
くるぶしから先の部分)」「くはゆき(馬の後脚の
外側に向いてとがった関節)」「くひひす(踵)」の「くは」「くひ」との関係が考えられる。
(2)「くわだてる①②」の語義が定着すると、「つま先で立つ」という
原義は、やや遅れて現われたツマダツ(爪立つ)に譲る形となった。
(3)中世以降は、何か重大で深刻なこと、良くないことを思い立ち、実行する意で用いられるようになる。
たくら・む【企】
〘他マ五(四)〙 くわだてる。思いたつ。計画する。多く、良くないことを計画する場合にいう。たくろむ。
※滑稽本・七偏人(1857‐63)二「何だかべらぼうと手厚くたくらんで来たなア」
※彼岸過迄(1912)〈
夏目漱石〉
停車場「彼はAを一つ担
(かつ)いで遣らうと巧
(タク)らんだ」
たくらみ【企】
〘名〙 (動詞「たくらむ(企)」の
連用形の
名詞化) たくらむこと。また、そのこと。計画。
陰謀。多く、良くないことを計画することにいう。
※桐の花(1913)〈
北原白秋〉ふさぎの虫「頓狂な
発作の陰謀
(タクラミ)が恐ろしい心の
どん底から」
くわ‐だて くは‥【企】
〘名〙 (古くは「くわたて」。動詞「くわだてる(企)」の連用形の名詞化) 企てること。また、そのこと。計画。もくろみ。
※
平家(13C前)七「慥
(たしか)に頼朝討つべきよし、
謀反のくはたてありと申す者あり」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報