公認会計士などの会計のプロを養成するための大学院。アメリカには、19世紀に創設されたペンシルベニア大学ウォートン校など会計学を講じる数多くの大学院があり、日本では文部科学省令(専門職大学院設置基準)に基づき、2003年(平成15)から会計大学院制度が導入された。「アカウンティングスクール」「会計専門職大学院」などともよばれる。民間企業や行政機関などの会計・監査の担い手として、専門知識、情報技術(IT)への対応力、論理的・倫理的判断力を備えた会計のプロを養成することを目的とする。法科大学院、教職大学院、経営大学院(ビジネス・スクール)などと並ぶ、研究者ではなく実務家養成を目的とする専門職大学院の一つである。標準的な修業年限は2年で、修了するには30以上の単位取得が必要。修了すると会計修士(専門職)号が与えられ、公認会計士試験のうち、一次試験(短答式試験)の一部科目が免除される。国際財務報告基準(IFRS)の導入や民間企業の合併・買収(M&A)の増加に対応するため、金融庁は日本で2万人台にとどまっている公認会計士数を、2018年をめどに5万人まで増やす目標を掲げており、受験年齢制限の撤廃などとともに、会計大学院制度が導入された。
日本の会計大学院は、ピーク時の2010年に全国に18校あったが、2015年4月時点で16校に減少した。2008年の世界金融危機の影響で、大手監査法人が一時的に採用を絞り、公認会計士試験の合格者が就職できない「就職浪人問題」が発生したことの影響が大きい。立命館大学、法政大学、甲南大学の3校が2015年4月から新規学生の募集を停止し、残る13校のうち9校が定員割れの状態に陥るなど人気に陰りがでている。しかし日本では、公認会計士そのものは不足しており、一般学生に対する会計大学院の認知度向上が課題となっている。
[矢野 武 2016年6月20日]
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