国指定史跡ガイド 「伝堀越御所跡」の解説
でんほりごえごしょあと【伝堀越御所跡】
静岡県伊豆の国市寺家にある館跡。西側に狩野(かの)川が流れ、地元で「堀越」と呼ばれている伊豆の国市寺家(じけ)に足利政知(あしかがまさとも)の御所があったと伝えられている。室町時代の後半は大名の勢力争いが激化して日本各地で戦乱が起こり、とくに関東地方は京都の室町幕府に従う勢力と対抗する勢力とが激しく争っていた。そこで時の将軍足利義政が、直接、関東地方を支配するため、1457年(長禄1)、鎌倉公方として派遣したのが兄(弟という説もある)の政知だった。しかし、政知は戦乱のために鎌倉までたどりつけず、韮山(にらやま)の堀越に居館を作って身を落ちつけたことから、「堀越公方」と呼ばれた。この御所は政知の死後、1493年(明応2)に北条早雲によって滅ぼされた。発掘調査の結果、池跡や遣水(やりみず)、建物跡が発見され、中国大陸から輸入された焼物などの生活用具が残されていることが確認されていて、都風な公方の生活を知ることができる。また、この地域の小字(あざ)名に「御所之内」や「築山」など、かつての堀越御所に由来する地名が用いられていることから、1984年(昭和59)に国の史跡に指定され、1987年(昭和62)に追加指定を受けている。伊豆箱根鉄道韮山駅から徒歩約15分。