足利政知(読み)あしかがまさとも

精選版 日本国語大辞典 「足利政知」の意味・読み・例文・類語

あしかが‐まさとも【足利政知】

室町中期の武将堀越公方。将軍義教の子。天龍寺の僧であったが、長祿元年(一四五七関東管領上杉氏に迎えられ、還俗して公方となり、伊豆堀越に住んだ。古河公方足利成氏(しげうじ)対立堀越御所、堀越公方とも称された。永享七~延徳三年(一四三五‐九一

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デジタル大辞泉 「足利政知」の意味・読み・例文・類語

あしかが‐まさとも【足利政知】

[1435~1491]室町中期の武将。義教よしのりの子。初め天竜寺の僧。足利成氏しげうじ征討のため還俗げんぞく、伊豆堀越ほりごえ(静岡県伊豆の国市)にとどまり、堀越公方と称して古河公方こがくぼう成氏と対立。

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改訂新版 世界大百科事典 「足利政知」の意味・わかりやすい解説

足利政知 (あしかがまさとも)
生没年:1435-91(永享7-延徳3)

室町後期の武将。将軍足利義教の子,義政の弟。初め出家して香厳院と称した。1454年(享徳3)鎌倉公方(くぼう)足利成氏が関東管領上杉憲忠を謀殺したことで,関東に内乱(享徳の乱)が生ずるや,関東管領上杉氏は古河公方となった成氏に代わる鎌倉公方の東下を要請した。そこで,義政の命令で還俗し,幕府から派遣されたのが政知であった。幕府・上杉方の中心であったが,鎌倉に入部しえず伊豆の堀越(ほりごえ)にとどまり,堀越公方と呼ばれた。鎌倉公方の諸権限を継承したが,実質的な支配は上杉氏にゆだねられ,名目的な存在にすぎなかった。82年(文明14)幕府と成氏の都鄙和睦の際に,伊豆を御料所として与えられた。91年政知が死去すると,子の茶々丸が跡を継いだが,まもなく伊勢宗瑞(北条早雲)にほろぼされた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「足利政知」の意味・わかりやすい解説

足利政知
あしかがまさとも
(1435―1491)

室町後期の武将。将軍足利義教(よしのり)の子で義政(よしまさ)の弟。出家して天竜寺香厳院(てんりゅうじきょうごんいん)に住んだが、1457年(長禄1)将軍義政の命で還俗(げんぞく)して政知と名のった。翌1456年左馬頭(さまのかみ)に任じられ、古河公方(こがくぼう)足利成氏(しげうじ)に対抗するため関東に派遣され、伊豆国堀越に拠(よ)ったので堀越公方(ほりこしくぼう)と称された。しかし関東の諸将心服を得られず、政治的活動としてはみるべきものがほとんどなく、1482年(文明14)伊豆国を領国とすることを条件に成氏と和睦(わぼく)した。延徳(えんとく)3年4月3日、57歳で病没。法名は勝幢院九山。

田代 脩]

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朝日日本歴史人物事典 「足利政知」の解説

足利政知

没年:延徳3.4.3(1491.5.11)
生年:永享7(1435)
室町時代後期の武将。将軍義教の子で義政の弟。享徳3(1454)年,鎌倉公方足利成氏が関東管領上杉憲忠を殺害し,関東に享徳の乱が始まると,上杉氏は成氏に代わる鎌倉公方の派遣を室町幕府に要請した。このとき,将軍義政の弟,天竜寺香厳院主が兄の命で還俗して政知と名乗り,鎌倉公方として東国に下向した。しかしそのころ東国では,下総古河に移り古河公方となった成氏が,千葉,小山,佐竹氏以下の大名たちの支持を得て大きな勢力を持っていたため,政知は鎌倉に入れず伊豆堀越に座所を構えて堀越公方と呼ばれた。鎌倉公方の権限を一部継承したとはいえ,実質的には上杉氏の支配権に依存,独自の意思に基づく政治的行動はほとんどみられなかった。文明14(1482)年,幕府と成氏の和睦により伊豆を料所として与えられたが,東国では影の薄い脇役に終始した。その家督は子の茶々丸が継いだが,間もなく伊勢宗瑞(北条早雲)に滅ぼされた。

(市村高男)

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「足利政知」の解説

足利政知
あしかがまさとも

1435.7.12~91.4.5

堀越公方(ほりごえくぼう)。6代将軍義教の3子。母は斎藤朝日氏。法名勝幢院九山。従三位左衛門督。はじめ禅僧となり天竜寺香厳院主。1454年(享徳3)足利成氏(しげうじ)が関東管領上杉憲忠を謀殺し,関東は争乱状態に陥った。幕府は古河による成氏に対抗するため,57年(長禄元)将軍義政の弟香厳院主の還俗および下向を決定。翌年下向したが,関東諸将に支持されず,関東管領上杉氏とも疎遠のため,駿河国守護今川氏を頼み,伊豆国堀越(現,伊豆の国市)に居館を構えた。結局,関東への政治的影響力はほとんど保持できなかった。82年(文明14)幕府と古河公方は和睦,伊豆だけが政知の料国として確保された。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「足利政知」の解説

足利政知 あしかが-まさとも

1435-1491 室町時代の武将。
永享7年生まれ。足利義教(よしのり)の3男。足利義政(よしまさ)の弟。出家して京都天竜寺香厳院にいたが,長禄(ちょうろく)元年義政の命で還俗(げんぞく)。古河公方(こがくぼう)足利成氏(しげうじ)に対抗するため関東に派遣されたが,鎌倉にはいれず伊豆(いず)堀越(静岡県)を拠点にしたため堀越公方とよばれた。延徳3年4月3/5日死去。57歳。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「足利政知」の意味・わかりやすい解説

足利政知
あしかがまさとも

[生]永享7(1435).7.12. 京都
[没]延徳3(1491).4.3. 伊豆,堀越
室町時代後期の武将。将軍義教の子。初め天竜寺に入って僧となったが,足利成氏征討のため還俗して関東に下り,堀越公方 (1457~91) と呼ばれた。長禄1 (1457) 年以来,伊豆堀越にいて古河公方と対抗。

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旺文社日本史事典 三訂版 「足利政知」の解説

足利政知
あしかがまさとも

1435〜91
室町中期の堀越公方
将軍義教 (よしのり) の子。初め天竜寺の僧。1457年,鎌倉公方足利成氏征討のため還俗 (げんぞく) し関東に下ったが,東国の将は服さず,伊豆の堀越 (ほりごえ) にとどまり上杉房顕に擁立されて堀越公方と称し,古河 (こが) 公方成氏に対抗した。

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367日誕生日大事典 「足利政知」の解説

足利政知 (あしかがまさとも)

生年月日:1435年2月1日
室町時代;戦国時代の堀越公方
1491年没

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世界大百科事典(旧版)内の足利政知の言及

【伊豆国】より

…旧国名。豆州。静岡県東部の伊豆半島および現在は東京都に属する伊豆諸島を含む地域。
【古代】
 東海道に属する下国(《延喜式》)。田方,那賀(仲とも),賀茂の3郡からなり,国府は田方郡に置かれ,三島市の三嶋大社付近にあったといわれている。《国造本紀》の伊豆国造条には,〈神功皇后の御代,物部連(むらじ)の祖,天桙(あめのぬぼこ)命8世の孫,若建命を国造に定め賜う。難波朝(孝徳)の御世,駿河国に隷(つ)く。…

【鎌倉公方】より


[古河公方,堀越公方]
 その後,鎌倉公方は,結城合戦をへて49年(宝徳1)に持氏の遺子成氏によって復活をみたが,成氏は54年(享徳3)12月関東管領上杉憲忠を謀殺したことで,幕府から追討を受ける身となり(享徳の乱),下総古河に居を移し,古河公方となった。幕府は,成氏に代えて新たに鎌倉公方に足利政知を任じ,軍事統率権や土地安堵権などの諸権限を授けて鎌倉に下向せしめたが,鎌倉に入部することができず伊豆堀越(ほりごえ)にとどまった。それゆえ,政知は,堀越公方と称された。…

【享徳の乱】より

…1454年(享徳3)より82年(文明14)まで続いた関東の大乱。永享の乱(1438)ののち鎌倉公方(くぼう)は置かれていなかったが,1449年(宝徳1)8月足利持氏の遺子永寿王が京都から迎えられ,元服して成氏と称した。永寿王は結城(ゆうき)合戦でただ一人助かった持氏の末子である。一方,関東管領は上杉憲実の子憲忠が任ぜられており,成氏と憲忠の間はうまくいかなかった。成氏は下向すると千葉,小山,宇都宮らの豪族層を重用したため,山内上杉憲忠,扇谷上杉顕房の両上杉氏やその執事である長尾景仲,太田資清らとの間に不穏な空気が流れはじめ,翌年4月成氏は鎌倉から江ノ島に移り,長尾,太田らがこれを攻めるという事態となった。…

【堀越公方】より

…上杉氏は,成氏勢力に対抗するために幕府に新たな鎌倉公方の下向を求めた。そこで,幕府は将軍義政の弟足利政知を東下せしめたが,鎌倉に入ることができず,伊豆の堀越に御所を構えた。これを堀越公方という。…

※「足利政知」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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