伝符(読み)デンプ

デジタル大辞泉 「伝符」の意味・読み・例文・類語

でん‐ぷ【伝符】

律令制で、官人伝馬を使って旅行することを許可する証書

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精選版 日本国語大辞典 「伝符」の意味・読み・例文・類語

でん‐ぷ【伝符】

  1. 〘 名詞 〙 令制で、官人が伝馬を使って旅行することを許可する証。その実体は明らかでないが、それには三刻~三〇刻のきざみがあり、その数により利用できる馬の数や饗応の程度が決まったか。急速を要する通信用の駅鈴と異なり、新任国司の任地赴任、諸種部領使(ことりづかい)相撲人などの不急公用で旅行する者が携行して郡衙に示し、そこに用意されている伝馬を使用するために用いられた。つたいのしるし。
    1. [初出の実例]「給大宰府飛駅鈴八口、伝符十枚、長門国鈴二口」(出典:続日本紀‐慶雲二年(705)四月辛未)

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改訂新版 世界大百科事典 「伝符」の意味・わかりやすい解説

伝符 (てんぷ)

前近代駅伝制で駅伝利用者に貸与される資格証明。古代中国では駅と伝に制度上の区別はなく,みな伝符を提示して駅に備えつけの車馬を利用した。しかし古代日本では朝廷直轄の駅馬は駅鈴を提示して利用することにしていたので,律令制により新たに郡司の馬を利用する伝馬の制度を設けたさいには,唐にならって伝符をその利用資格の証明とした。唐の伝符は銅製で竜などの形をしていたというが,日本のばあい当初の形は不明であり,やがて他の公文書と同様に紙券になったと思われる。伝符によって動員しうる伝馬の数は,親王・一位に30匹,二~三位に20匹,四位に12匹,五位に10匹,六~八位に4匹,初位以下に3匹である。駅鈴による駅馬の動員数よりもずっと多く,日本の律令制が中央貴族による郡司ら地方豪族の圧制の上に成りたっていたことを示している。
伝馬てんま
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世界大百科事典(旧版)内の伝符の言及

【会符】より

…江戸時代,幕府や大名,朝廷,公家,寺社などが荷物運送に際して,自分の荷物であることを明示するため荷物につけた証札で,伝符,行李符ともいう。絵符とも書く。…

※「伝符」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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