部領使(読み)コトリヅカイ

デジタル大辞泉 「部領使」の意味・読み・例文・類語

ことり‐づかい〔‐づかひ〕【部領使】

部領ことり1」に同じ。
防人さきもり交替にあたり、東国防人筑紫まで引率する使い防人部領使
「防人―遠江国史生ししゃう坂本朝臣人上」〈・四三二七・左注
相撲すまいせちに参加する力士各国から都に召し出すための使い。相撲部領使。相撲使すまいのつかい
「相撲の―によせ、謹みて片紙を付く」〈・八六四・題詞

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精選版 日本国語大辞典 「部領使」の意味・読み・例文・類語

ことり‐づかい‥づかひ【部領使】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ことり(部領)
    1. [初出の実例]「部領使左弁史生少初位下文忌寸奈保麻呂」(出典:正倉院文書‐天平一〇年(738)駿河国正税帳)
  3. 特に、防人(さきもり)宰領して輸送する責任者。→防人部領使(さきもりことりづかい)
  4. 特に、諸国より相撲人を徴し来って相撲の節会に出場させる責任者。平安時代では、近衛府の官人がこれにあたった。相撲使(すまいのつかい)。《 季語・秋 》
    1. [初出の実例]「今因相撲部領使、謹付片紙」(出典万葉集(8C後)五・八六四・右詞文)

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「部領使」の解説

部領使
ことりづかい

古代において人や物資の輸送を統率する責任者。奈良時代の正税帳や計会帳には,采女(うねめ)・耽羅(たんら)島人・俘囚(ふしゅう)・流人・役夫・防人(さきもり)などさまざまな人の移送や,御贄(みにえ)・御馬・銅竈・経典・鷹など進上物の部領使がみえる。主として進上する国の国司や郡雑任,あるいは移送に責任をもつ中央官司の官人が部領使にあてられるほか,路次諸国の国司・軍毅(ぐんき)が部領使として隣国へ逓送する場合もあった。平安時代にはおもに相撲使(すまいのつかい)のことをさしていう。


部領使
ぶりょうし

部領使(ことりづかい)

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